「成功する会社」と「正しい会社」の決定的な差 「トレイルブレイザー」はきれい事の本に非ず
アメリカでは、ネットフリックスが休眠ユーザーからお金を徴収し続けるのをやめるという決断を発表しました。
サブスクリプションモデルのビジネスは、その性質上、休眠ユーザーがいたとしても、いかに解約させないようにするかという力学が働きますが、「使っていないのだから、お金を取るのは正しくない」という意思をはっきり示して、自主的に取り下げるというのは、なかなか行動に移すのは難しいものです。
企業が巡航速度で成長しているときは、「昨対比」を落とせませんし、このような決断はできません。でも今後、利益だけを追求するのでなく、こうした「正しい」稼ぎ方に変わっていく時代になっていくのだろうと思います。
もちろん、こうした決断は、倫理観だけではなく、実際に顧客維持の仕組みも優れているからこそできることだと思います。「正しい稼ぎ方」を実現する裏には企業としての努力が伴うわけです。
「稼ぐ」のは順番が大切
これは大事なことですが、いいことをして稼ぐのと、稼いだお金でいいことをするのとは、まったく違います。お金を集めて何かいいことに寄付するというやり方だと、「そのために稼ごう」というメカニズムになり、結局どんどん稼ぐ会社ほど、逆にいいことがやりやすくなるので、利益を出しさえすればいいという方向に行きます。
しかしこれでは極端な話、人をだまして巨額の富を得たとしても、その利益の1割を社会貢献に充てていれば、いいことをしているという話になってしまうのです。
この観点から見ると、いいことをして稼ぐ、つまり、稼ぎ方そのものを変えていかなくてはなりません。事業成長と社会貢献のあり方、もっと言えば、資本主義のメカニズムを考え直さなければいけないのだと思います。稼ぎ方の良しあしにテコ入れしなければ、本当の意味でよくはならないでしょう。ネットフリックスのような自主ルールを、いかにかけられるかです。
『トレイルブレイザー』の中では、ネットフリックスはやや批判的に書かれているように感じました。同社は、稼ぎ方は賞賛されても、人に対してはストイックで長く雇うことはなく、スポーツチームのような考え方でドライな部分もあるということなのでしょうか。逆にセールスフォースは、家族企業的な発想ということなのかなと読み解きました。
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