マツキヨ・ココカラ連合はコロナで揺らぐのか インバウンドの減少が業績を直撃している
PB開発の推進に関してもスピード感は落ちていない。マツキヨは今年3月以降も、「首もとパックシート」やエナジードリンクのグミバージョン、国際的なアンチドーピング認証であるインフォームドチョイスを取得しているアスリート向け商品、スキンケア商品、デザイントイレットペーパー、プロテインバーなど、相次いで新商品を発売、または投入予定だ。
いずれも、市場で明確に差別化できる商品であり、かつ“マツキヨらしさ”を消費者の中に育て始めている。例えば、トイレットペーパーは誰もが一度はドラッグストアで手に取ったことのある商品でありながら、そこにデザイン性や楽しさを求めるという切り口はこれまでなかった。
しかし、マツキヨのデザイントイレットペーパーは、“美尻”をプリントするなど、見た人が一瞬ドキッとするような驚きといたずら心を込めている。これを可能にしているのも、マツキヨのマーケティングノウハウの蓄積によるものだろう。
狭小商圏出店がより加速する
一方で筆者が長期的に変更となる可能性があるとみているのが、都市型の出店である。少し前まで、高齢化が進むと、医療や買い物にアクセスしやすい都市部に人口が集中するのではないかという説が有力だった。人口が減少傾向にある地域は減少が加速し、増加傾向の都市にいっそう人が集まってくるという考えだ。
ただし、“自粛”“非接触”というWithコロナの生活様式が人々の心理に与えた影響は、このあとも長く後を引きそうだ。否定的な意見が多かったオンライン診療も想定していたよりも抵抗感なく受け入れられた。都市に住まなくてもオンラインでアドバイスが受けられるほか、都市部にある会社に行かなくても仕事ができるようになる。そうなってくると、おだやかであっても、都市への人口集中は緩和していくだろう。
また、コロナで象徴的だったのは、「より生活の身近にある業態が伸びた」ということだ。マツキヨとココカラの苦戦もそうだが、オフィス立地のコンビニエンスストアも落ち込んだ。
ただしコロナに限らず、百貨店の苦戦など、少し前から「生活に近い小売り業態」の優勢は表れていた。これは高齢化も1つの要因で、高齢になると自宅の近くの店でほとんどの買い物を済ませる傾向があることが影響している。今後、住まいの近くへの出店、いわゆる狭小商圏出店は改めて増えると予測される。
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