マツキヨ・ココカラ連合はコロナで揺らぐのか インバウンドの減少が業績を直撃している

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ただし、マツキヨの4.26%が業界で低いほうなのかといえば、必ずしもそういうわけではない。ツルハHDの2020年5月期の営業利益率5.4%に比べると低いが、ウエルシアHDの2020年2月期の4.4%と比べると大きく見劣りするわけではない。

しかも、上記4~6月の期間以上に両社の売り上げが持続的に停滞するかというと、そんなこともない。両社の売り上げは7月にきて、回復基調になっている。3~7月の両社の月次は以下のとおりだ。

 

これは両社の売り上げ減の主な理由である、インバウンド、都市型店舗、化粧品のそれぞれの需要減のうち、都市型店舗の人出が戻ってきていることと、それに伴い化粧品の売り上げも回復してきていることを示している。

インバウンド需要だけは、当面回復を見込めないものの、それ以外のマイナス要因は解消しつつある。爆発的な感染再拡大などがないとすれば、4~6月の業績を底とみてよいだろう。

環境の急変を受けて、販促活動や店舗運営費も見直す動きがあることから、利益確保の体制も整えられそうだ。4~6月の業績に対し、両社が掲げていた共同仕入れ、物流コストの削減効果はコロナ禍に影響されず発揮できると考えられる。

コロナで戦略変更を余儀なくされる?

とくにマツキヨが強みとしている、デジタルマーケティングと、それを駆使したPB(プライベートブランド)商品開発も、コロナ禍による影響はあまりなさそうだ。マツキヨは会員カード、アプリ、LINEを通して、顧客との接点を延べ7110万保有しており、これらの接点により、より顧客の志向に沿ったマーケティングを可能にしている。デジタルマーケティングの接点数、知見の蓄積ではドラッグストア業界では先行している。

具体的には、同社は顧客を年齢や性別などで分類するのではなく、商品購買の裏に隠された「家族思い」や「健康志向」といった顧客の価値観に焦点を当てたマーケティングに取り組んでいる。さらには、必ずしも店舗に来なくても顧客と接点を維持できるデジタルマーケティングは、「自社アプリのダウンロード・自社EC・店舗の利用」の併用で、年間購入額が平均の3倍まで増大するともいわれている。

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