マツキヨ・ココカラ連合はコロナで揺らぐのか インバウンドの減少が業績を直撃している
「コロナ禍でマツキヨとココカラの合併に影響が出るのではないか?」最近、筆者がよく聞かれる質問だ。昨年8月、当時業界5位だったマツモトキヨシHD(以下マツキヨ)が、業界7位のココカラファイン(以下ココカラ)との経営統合を発表し、業界内では大きな話題となった。
ところが、今年に入りコロナの影響が両社を直撃。多くのドラッグストアが営業継続によって好調な業績をはじき出すのを横目に、マツキヨとココカラの大きなマイナスが目立った。
例えばマツキヨが8月11日に発表した2021年3月期第1四半期決算(4~6月)は、売上高は1316億1400万円(前年同期比9.8%減)、営業利益56億900万円(同38.9%減)とマイナス。同じ期間のココカラ業績も売上高は945億3100万円(前年同期比7.6%減)、営業利益 17億7700万円(同39.5%減)と不調だった。ツルハHDやウエルシアHDなど大手他社が好調だったこととの対比がマスコミでも多く報じられた。
4~6月の営業利益率は急落
ただし、両社の経営統合自体が後戻りすることは考えられないだろう。すでに今年3月31日にココカラは第三者割当増資を完了。マツキヨがココカラの議決権20.04%を保有する主要株主となっており、ココカラはマツキヨの持ち分法適用会社となっている。経営統合は間違いなく進むが、問題は経営統合で当初目指した効果が得られるかどうかだ。
両社は、主に商品開発・共同仕入れ、マーケティング連携、物流コストの削減などでシナジー効果をもたらす方針を示していた。さらに、昨年8月に両社が共同で行った記者会見では、マツキヨの高い利益率の水準を目標に、ココカラの利益率を引き上げることを目指したいとしていた。今回はこのそれぞれの方針を分析することで、両社のシナジー効果を改めて検証したい。
まず利益水準を見ると、コロナ禍以前の2020年3月期の売上高営業利益率はマツキヨが6.4%と、業界トップクラスの水準。ココカラは3.3%だった。これが、4~6月業績(2021年3月期第1四半期)の売上高と営業利益を単純計算すると、マツキヨが4.26%、ココカラが1.88%と急落している。頼みのマツキヨ自体の利益率が下がっているため、現在の局面を見る限り、統合することで営業利益率を引き上げることは困難と言わざるをえない。
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