バレーボール大山加奈が苦しむ"後遺症"の過酷

益子直美さんと考える「バレー界を変える方法」

――益子さんは指導者の姿勢や態度の改革に取り組んでいますが、練習の中身にも課題がありそうです。

大山:追い詰めるような練習っていうのが、まだまだありますね。バレーボールには「ワンマンレシーブ」っていう特徴的な練習があって。あれはなくしていったほうがいいと個人的には思っています。

益子:1人の選手が、打たれたボールをレシーブし続ける練習だね。ひたすら倒れるまで。

どうすればバレー界は変われるか

――3年前に大阪の府立高校で部員の顔に繰り返しボールを当てる映像がインターネットに投稿され、「虐待ではないか」と問題になりましたね。ただ、バレー経験者から「あの練習のおかげでうまくなった」と肯定するSNSでの書き込みもありました。

大山 加奈(おおやま かな)● 元バレーボール全日本代表選手、スポーツキャスター、バレーボール教室講師。
小学校2年生からバレーボールを始め、小中高全ての年代で全国制覇を経験。高校卒業後は東レ・アローズ女子バレーボール部に入部した。 日本代表には高校在学中の2001年に初選出され、オリンピック・世界選手権・ワールドカップと三大大会すべての試合に出場。 力強いスパイクを武器に「パワフルカナ」の愛称で親しまれ、日本を代表するプレーヤーとして活躍した。 2010年6月に現役を引退し、現在は全国での講演活動やバレーボール教室、解説、メディア出演など多方面で活躍しながら、スポーツ界やバレーボール界の発展に力を注ぐ。

大山:ワンマンレシーブという練習は暴力を招きやすいと思っています。ちゃんと目的があってやる練習であればいいんですけど、そうではないワンマンレシーブのほうが圧倒的に多いと感じています。私は中学、高校ではまったく経験していなくて、卒業してからやる機会が多くなった。

益子:今でも、ごく普通にやってると思うな。加奈ちゃん、ほかにはどうすれば、バレー界が変われると思う?

大山:私は、全国大会のシステムを変えていかないと、現場は変わらないんじゃないかと思っています。私自身、小中高と日本一をひたすら目指して、日本一にならせてもらったからこそそう思うんです。小学校から日本一を目指すことが本当に正しかったのかな?って。

――一発勝負のトーナメント方式は、大人の熱を過度に上げますよね。ついつい無理をさせてしまう。整骨院に行くと、小学生が電気かけたりとかしてますよね? 

大山:私も行ってました。小学校の頃から。外国の人が見たら、たぶん虐待だって言いますよね。ある保護者の方は娘さんが腰椎分離症だと。チームのほかの子もみんな故障を抱えていると言ってました。

益子:小学生の練習時間や方法は見直さなくてはいけないね。

――海外のバレーから学ぶことはありませんか?

大山:引退をして、海外の選手たちの練習を大会のときに見させてもらう機会が増えました。ほかの国は、選手が監督と対等だと実感しますね。とくに世界のトップチームはそうですね。中国やアメリカなど、強ければ強いほど対等なんです。

益子:具体的にどういうところでそう感じるの?

大山:選手が何か思ってることがあったらすぐ監督のところに言いに行く。意見するんですよね。監督もそれを聞いて、対等に話し合ってる。何を話してるかはわからないですけど、話し合ってるっていうのがわかる。あの郎平さんでさえそうなので、いつもすごいなと思いながら見ています。

――選手として中国の女子バレー最高のスーパースターで、現在の監督ですよね。

大山:中国はもちろん、海外の選手たちはとにかく自分たちで盛り上げて、盛り上げて、みんなで試合に向かっていこうっていうのが伝わってくる。バレーを本気で楽しんでます。

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