バレーボール大山加奈が苦しむ"後遺症"の過酷 益子直美さんと考える「バレー界を変える方法」
――益子さんはメンタルトレーニングのコーチ資格取得などの過程で、多くの指導者と交流がありますね。
益子:パワハラ的な指導をしてきたけれど、いろいろとご自分で学んで変わろうとするコーチや監督さんにたくさん会ってきました。例えば、高校バレーの元監督さん。指導歴41年のうち前半は怒る指導、後半は選手の自主性を基にした指導をしてきたそうです。怒ったり、殴ったりに依存する中毒のようなものだったかもしれない、と。
変わるきっかけは、選手たちのボイコット。全員やめると言ってきたことでした。 以来、今日こそ怒らない、殴らないと心に決めて体育館に行きつつ、後半にペップトーク(シンプルな言葉を使って人のやる気を引き出すアメリカ発祥のメソッド)に出会って変われたと聞きました。
大山:きっかけさえあれば、変われるんですね。
益子:選手を褒めたらすごく目が輝いて自分から取り組み始めた。それを見て指導の仕方を変えたという高校野球の監督さんもいた。指導者もきっと心のどこかで「このやり方じゃない」と思ってると私は信じてるの。だから諦めずに活動し続けたい。
子どもだからといって全部教える必要はない
――「益子直美カップ 怒らないバレーボール大会」での気づきは何かありますか?
益子:益子カップが終わった後、子どもたちからもらったお手紙を読むと、すごく成長を感じるんです。「監督が怒らないから、今まで強気で打てなかったボールにチャレンジできた」とか「取れないと思ってたボールに飛び込んでみたら取れた」とか。それに「監督が怒らないからといって甘えずに、コートの中では自分たちで考えて声を出しました」とか。
大山:自立心も育ってるんですね。
益子:そうなの。小学生でもこうやって、考えることができるんだなっていうことにすごく感動して。それを先生(コーチ)たちにも伝えるんです。そうすると、皆さん「そんなこと思ってたのか」とびっくりして。子どもだから全部教えてあげないと駄目だって思ってたけど、違うんだ、って。
大山:一から十まで教えなきゃって思うんですよね。
益子:でも、ただ怒らないっていうルールがあるだけで、こうやって成長してくれる、自分で考える。そこに本当にびっくりしたって言ってもらったとき、大会を続けてきてよかったなって思いました。
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