プジョー208の価値観が先代と明らかに違う訳 20●シリーズ伝統の「革新」はどこにあるのか

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ところが次に登場した「207」は全長が4mを超え、全幅は日本では3ナンバーになる1.75mに達するなど、ボディサイズを拡大したことが裏目に出て、206ほどの販売台数を上げることはできなかった。

ボディの大型化がネックとなり苦戦した「207」(写真:グループPSAジャパン)

そこで、次の初代208では全長を4m未満に戻し、全幅も10mm狭めるなどダウンサイジングしてきた。

一方でインテリアは、206のスタイリングに匹敵する革新が導入された。ステアリングが小径の楕円形になり、メーターはインパネの奥に置かれ、ステアリングの上から見るレイアウトになっていたのである。

ただ、スタイリングはダウンサイジングのために、206や207のようなダイナミズムは控えめになった感じがしたし、独特の運転席まわりはいわゆる初物だったこともあり、一部のドライバーから違和感が聞かれた。では、2代目となる新型208はどうか。

205GTIを彷彿とさせる?

まず、ボディサイズは全長4095mm×全幅1745mm×全高1465mm(GT Line)で、先代よりも長く幅広くなったが、2世代前の207と比べると50mm伸びた程度であり、幅は5mmだけであるが狭くなっている。

スタイリングは、206→207→初代208の流れとは明らかに違う。過去3世代が、吊り目のヘッドランプから始まる躍動感を強調した造形だったのに対して、新型はヘッドランプの下に伸びるデイタイムランニングランプが目立つものの、ボディサイドのラインは水平に近く、フロントウインドーの傾きもほどほどで、落ち着いた台形フォルムになった。すぐに思い浮かんだのは、205だ。

「208 Allure(アリュール)」のリヤまわり(筆者撮影)

サイドウインドーの輪郭は205に似ているし、スポーティグレードの「GT Line」に付くリアクォーターパネルのロゴや黒いホイールアーチは、筆者も昔愛車にしていた205GTIを彷彿とさせる。

それでいて前述した縦に伸びるデイタイムランニングランプ、リアの全幅にわたる黒いガーニッシュにランプを浮かび上がらせる処理などは、ひと足先にデビューした現行「508」に似ており、最近のプジョーの流儀にのっとっている。200番台の伝統と最新モードのフロント/リアまわりを絶妙に融合しているのだ。

インテリアは先代に続き、小径ステアリングの上から遠くに置かれたメーターを見るスタイルのインパネを継承した。

「208 Allure」のインストルメントパネル(筆者撮影)

ただし、記憶の中にある先代と比べると、ドライビングポジションは自然になっており、着実な進化を実感できる。

メーターは、自動車業界でも一般的になりつつあるデジタル式だが、新型208では3Dタイプとしており、モダンな印象をもたらしてくれるだけでなく、情報にメリハリをつけてあるので、速度など大事な表示を見つけやすかった。

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