昨年秋に日本で初公開された新型プジョー「208」が、今年7月に発売された。208としてはこれが2代目となるが、それ以前の車名は「206」「207」と、200番台の中で末尾の数字を1つずつ増やしてきた。
プジョーが中央にゼロを挟んだ3桁数字の車名を最初に使ったのは、1929年発表の「201」と、今から90年以上も前のことである。続いてプジョーは「301」や「401」を登場させ、車名で車格を表す手法をいち早く導入した。
1963年に発表されたポルシェの新型スポーツカーが、当初は開発コードと同じ「901」を名乗っていたのに「911」と名を変えて発売されたエピソードは、クルマ好きの間では有名だ。プジョーが、中央にゼロを挟んだ3桁数字の車名を商標登録していたためだ。
しかしながら、この命名方法には限りがある。そこでプジョーは、SUVやミニバンは派生車種と考え4桁数字を与えるとともに、208の1クラス上を担う「308」が現行型にモデルチェンジする際に、同じ数字を継続して使うことにした。つまり、208はモデルチェンジしても208になる、というわけである。その後「3008」「5008」「508」も2世代続いて同じ車名となった。
ちなみに、これは日本を含めた先進国向け車種のルールで、新興国向けとしては2012年に「301」が登場している。また、昨年日本で発売された「リフター」など、ハイトワゴンやバンのカテゴリーは、1990年代以降は言葉による車名になっている。
大ヒットした「205」と「206」
こうした中でも、プジョーを代表する車種として、200番台の車種を挙げる人は多い。201から208まで、欠番なしに世代交代を果たしてきており、1983年デビューの「205」以降は、世界各地で人気となったシリーズだからだ。プジョーが、革新的な技術やデザインをこのクラスに与え続けてきたことも、大きいだろう。
技術面で見ると、第2次世界大戦後初の新型車だった「203」はプジョー初のモノコックボディ、続く「204」は初の前輪駆動を取り入れ、205ではスポーツモデル「GTI」を設定するとともに、世界ラリー選手権(WRC)参戦用ミッドシップエンジン4WDの「ターボ16」を送り出した。
デザインでは、1998年発表の206で1950年代からスタイリングを担当してきたイタリアのピニンファリーナと袂を分かち、社内デザインスタジオの手になるフォルムに切り替えた。
ピニンファリーナデザインのプジョーは、どれも端正という言葉が似合う落ち着いたものだったが、206は対照的にダイナミックで、ワゴンの「206SW」、リトラクタブル式ハードトップの「206CC」が用意されたこともあり、新たなユーザーを獲得した。
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