数学が苦手な人は社会の仕組みがわかってない Netflixがつい見たくなる作品を薦めてくる訳

拡大
縮小

映画が2作あったとして、片方を見た後でもう1作を見る人が多ければ、その2作は似ているとみなせる。例えば「アイアンマン」のあとで「アイアンマン2」を見た人がとても多いなら、この2本は似ているに違いないので、「アイアンマン2」は「アイアンマン」を見た人にとって「よいオススメ」と言える。Netflixを利用する人が多いほど、レコメンド機能の精度も上がる。コンピューターで、特定のユーザーと視聴履歴の似ている人がすでに見た作品を選び出せるからだ。

映画1本、ドラマ1作品をそれぞれ1個の円で示すとする。そのような図を使って計算を進めるには、円と円を結ぶ線ごとに数値が明らかでなければならない。ここでの数値は、クリックした作品を両方とも見た人の数だ。3作の映画だとすると、次の図のようになる。

(外部配信先では図や表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

この図から、ユーザーの好みと各作品のマッチ度がどうなるかを考えてみよう。あるユーザーがNetflixで「アイアンマン」だけを見ていたとする。そのときコンピューターの仕事は、このユーザーが「アイアンマン2」と「ブループラネット」をそれぞれどの程度気に入るかを予想することだ。図の数字からすると、「アイアンマン2」のマッチ度は相当高くなる。好みが同じユーザーの多くが見ている作品であれば、「よいオススメ」、つまり気に入る可能性が高い。

反対に「ブループラネット」のスコアは低くなる。これは、「ブループラネット」と「アイアンマン」の両方を見た人がずっと少ないためだ。「アイアンマン2」と「ブループラネット」」の両方を見た人はさらに少ない。この結果、「ブループラネット」のマッチ度は低くなる。こうして「こちらもオススメ」には「アイアンマン2」が表示される。コンピューターはさらに、この計算結果(例えば、あるユーザーが「アイアンマン2」をどのくらい気に入るか)を別の作品に関するマッチ度の正確性を高めるために活用する。

次ページ数学がなければ暮らせない
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT