キヤノン電子が描く「宇宙ビジネス」の未来

トップが語る「技術立国・日本」再興の要諦

キヤノン電子は将来、自社開発のロケット打ち上げも目指している。写真は2020年5月、初の有人飛行テストで打ち上げに成功したアメリカのスペースX「クルードラゴン」(写真:ロイター/アフロ)
キヤノンの上場子会社としてプリンターやデジタルカメラに使用する部品を製造しているキヤノン電子。カメラやプリンター市場の縮小という逆風下にあって、同社がいま最も注力しているのが宇宙事業だ。
重さ数十キログラムの超小型人工衛星を自前で開発。2017年に1号機を軌道に投入することに成功して以来、観測した地表や宇宙の写真を送信し続けている。2020年内には3号機の打ち上げを行う方針だ。
アメリカでは5月にテスラ創業者のイーロン・マスク氏が立ち上げた「スペースX」が民間企業として初めて国際宇宙ステーションへの有人宇宙飛行を成功させた。世界では民間企業による宇宙開発が存在感を増しているが、日本の民間ロケットベンチャーの中には、打ち上げ失敗が続き、苦戦しているところもある。
キヤノン電子も小型衛星向けロケットの開発に取り組む「スペースワン」に50%出資しており、将来は自社開発のロケット打ち上げも視野に入れている。同社の酒巻久社長に宇宙事業への展望について聞いた。

宇宙開発が進めばビジネスチャンス

――キヤノン電子は宇宙事業で何を目指しているのでしょうか。

2017年に超小型人工衛星をインドから打ち上げ、キヤノン製の光学機器を搭載して地表の画像を撮影するなど観測や運用の実績を積み上げている。宇宙開発が進めば人工衛星の需要が高まり、人工衛星の販売や部品の供給というビジネスチャンスが来る。

宇宙関連の機器は特注品が多く、値段が高かった。そこで、自社で内製化した低コストの人工衛星を販売できないかと考えた。現在は自社で打ち上げて運用し、ノウハウをためている段階だ。

人工衛星の需要が高まると、それを打ち上げるためのロケットが必要になる。しかし、日本ではJAXA(宇宙航空研究開発機構)主体のロケットしかなく、打ち上げコストが高くなりがちだ。また、海外打ち上げには安全保障上の理由からさまざまな手続きが必要になる。

そこで契約から打ち上げまで最短かつ高頻度に打ち上げることのできるロケット打ち上げサービス会社として「スペースワン」を立ち上げ、出資している。2020年代半ばに年間20回打ち上げる計画だ。キヤノン電子としてもロケット開発とロケット打ち上げサービスを行う会社を目指していく。

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