今の40歳前後に苦しい生活を送る人が多い因縁 中年格差を生んだ就職氷河期とは何だったのか
これだけ就職者の数が減少したのに、そういう人はどこに行ったかといえば、大学院に進学した人が10%前後、就職を諦めて自営業になった人、家事手伝いになった人(女性に多い)、失業者になった人、非労働者になった人、などさまざまである。
いずれにせよ雇用者になれなかった人が就職氷河期には数多く出たのであり、こういう人は経済的に苦しい生活を強いられるようになった。さらに雇用者になった人でも、正規社員ではなく非正規社員に甘んじる人も相当いた。この人々も苦しい経済生活を強いられたのは確実である。
高卒について簡単に述べておくと、1965年あたりは就職率がとても高く、その後一貫して低下を示した。現在では新卒高校生の20%ほどしか就職しておらず、これは大学進学率が大幅に高まったことの反映である。家計所得の豊かさが増したので、現在では高校生が大学に進学したいと思う希望を、満たすことができるのである。
新卒者の就職内定率で見てみると?
実は就職氷河期の深刻さを端的に示すには、新卒者の就職内定率のほうがより直接的だ。
まず大卒について、最悪に近い年代は2000年の91.1%であり、これは先ほど述べた大卒就職率が最低の年である2004年に近いので、この時代が「就職氷河期の最悪期」に相当する。なお大卒の内定率が大きく変動していない理由は、不況が深刻だと新卒大学生が求職をしても見つからないだろうと諦めて、求職をやめるか大学院に進学する希望に変わるからである。とはいえ2000年を過ぎると、少しは内定率が高まったことがわかる。ただし、2010年を過ぎると、再び多少の減少を示した。
高卒に注目すると、大卒よりも内定率の変動が厳しい点に気がつく。企業は不況への対策の1つとして新卒生の採用を減らすに際して、大卒よりも高卒をその対象とする可能性が高い。それは大卒には幹部候補生が多いので、長期的な人事政策の関点から不況でも大卒をできるだけ採用するからである。高卒に関しては、現業で働く人が多いので、高卒の採用を減らして非正規の労働者で代用する策を取る可能性が高い。
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