今の40歳前後に苦しい生活を送る人が多い因縁

中年格差を生んだ就職氷河期とは何だったのか

この3つの制度、実は大多数の労働者に該当するのではなく、それほど多くの労働者がこの制度の中にいるのではない。

なぜならば、これらは大企業に主として見られる現象であるが、よく知られているように、日本企業では中小企業で働いている人のほうがはるかに数は多いからである。しかし重要なことは、中小企業を含めた日本の企業において、この3つの制度を理想型ないし標準型とみなしていて、できればそうでありたいと希望していたことだ。

この3つに加えて、ここでもう1つの重要な制度を4つ目として述べておこう。就職氷河期と直接関係のある制度として、「新卒一括採用方式」の存在である。これは学生が3月の卒業後、4月に企業によって新規採用される制度である。もとより中途採用もかなりあるが、新卒生を年に1度、大量採用するのが日本企業の特色であった。

解雇が容易でない日本企業は新卒採用を絞った

この制度は企業が不況に陥ったときに、新規採用を抑制するという手段を用いるのを促す特色を有する。企業経営が不振になると労働費用の削減が迫られるが、解雇が容易でない日本企業では採用数を減らす作戦に出ざるをえない。

そのときに直接の影響を受けるのが新卒生であることは当然となる。バブル崩壊後の1990年代初頭に日本企業は長期の大不況に陥り、新規学卒の採用数が大幅に減少した。それがまさに就職氷河期に相当するのである。そしてその効果が、当時新卒生だった人が今の時期の中年期、そして後の高年期まで続くのである。

この時期に大卒と高卒の新卒生がどれだけ就職に苦労したかを確認しておこう。最近の就職率、戦後から現代までの、大卒と高卒の就職率を見てみよう。

まず大卒であるが、バブル崩壊直後の1990年はまだ不況の影響がなかったので、81%という高就職率である。その後不況が深刻になると、就職率は急な低下を示すようになり、最悪時の2004年にはなんと56%にまで落ちた。半分弱の大卒生が職を見つけられなかったという深刻さであった。

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