雑草「オナモミ」が2種類の種を仕込む深い理由 成長の早さに違いを持たせるのはなぜなのか

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その正確な理由は、わかっていません。しかし、バラバラであるということは、きっとバラバラである理由があるのでしょう。ギザギザが少ないほうが、光が当たる面積が広くなるかも知れません。ギザギザが鋭いほうが、葉っぱ全体に水を行き渡らせるのには、有利なのかも知れません。

ただ、葉っぱの形に個性があるということは、その個性に意味があることは間違いないのです。

一方、葉っぱの形は個性がありますが、タンポポの花の色には、個性がありません。みんな黄色い色をしています。それはなぜでしょうか。タンポポの花は、アブなどの昆虫を呼び寄せます。アブなどの昆虫は黄色い花に集まりやすいという特徴があります。そのため、タンポポの花は黄色い色をしているのです。

つまり、タンポポの花の色は黄色が正解なのです。正解のあるものにバラツキはありません。逆にいえば、バラバラであるということは、「何が正しいのか、何が優れているのかわからない」ということなのです。

正解のないものに対して

私たち人間の体の構造でほとんどの人に共通している部分は、それが生きていくのにもっとも適しているという答えがあるからです。しかし、私たちの顔は、それぞれみんな違います。指の太さや長さも個性があります。体の大きい人も、小さい人もいます。

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これは、容姿や体の大きさに正解がないからです。人間の体の大きさは、大きいほうが有利なときもあれば、小さいほうが有利なときもあります。大きい人ばかりの集団よりも、大きい人と小さい人がいる集団のほうが、色々なことができます。だから、人間の体の大きさは人によって違うのです。

生物は長い時間をかけて、進化を遂げてきました。人間も同じです。長い進化の過程で、人間は適した形に進化しています。一方で体の大きさは、大きい人と小さい人がいてバラバラになるように進化しています。バラバラであるということも、生物が進化の結果、手に入れてきたものなのです。

稲垣 栄洋 静岡大学農学部教授

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いながき ひでひろ / Hidehiro Inagaki

1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院修了。専門は雑草生態学。農学博士。自称、みちくさ研究家。農林水産省、静岡県農林技術研究所などを経て、現在、静岡大学大学院教授。『身近な雑草の愉快な生きかた』(ちくま文庫)、『都会の雑草、発見と楽しみ方』 (朝日新書)、『雑草に学ぶ「ルデラル」な生き方』(亜紀書房)など著書50冊以上。

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