雑草「オナモミ」が2種類の種を仕込む深い理由 成長の早さに違いを持たせるのはなぜなのか

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オナモミ、別名くっつき虫(ひっつき虫)についてご紹介します(写真:musapoo/PIXTA)
身近なのに実は知らないことが多い植物や昆虫の生きざま。今回は植物研究者の稲垣栄洋氏の新著『生き物が大人になるまで 「成長」をめぐる生物学』より、「オナモミ」になぜ、成長のスピードが違う2つの種子があるのか、タンポポの葉っぱになぜ、ギザギザが鋭いものとそうでもないものがあるのか、について紹介します。

くっつき虫を割って中身を見てみると

みなさんは、「オナモミ」という雑草を知っていますか。トゲトゲした実が服にくっつくので「くっつき虫(ひっつき虫)」という別名もあります。オナモミの実は子どもの頃に遊んだりして知っていても、この実の中身まで見たことのある人は少ないのではないでしょうか。

オナモミの実を割ってあけてみると、中には、やや長いタネとやや短いタネの2種類が入っています。この2つのタネは、性格が違います。2つのタネのうち、長いほうは、すぐに芽を出すせっかちな性格です。一方の短いほうは、なかなか芽を出さないのんびりとした性格です。オナモミの実は、性格の異なる2つのタネを持っているのです。

それでは、このせっかちなタネとのんびりとしたタネは、どちらがより優れているのでしょうか。

……結論を言うと、そんなことは考えてもわかりません。

もしかしたら、早く芽を出したほうがよいかも知れません。「善は急げ」や「先んずれば人を制す」ということわざもありますし、他の植物に先駆けて芽を出すということは、それだけ有利なような気もします。

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