雑草「オナモミ」が2種類の種を仕込む深い理由 成長の早さに違いを持たせるのはなぜなのか

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一方、「急いては事をし損じる」ということわざもあります。「ゆっくり行く者は遠くまで行く」という格言もあります。早く芽を出しても、まだ生長するだけの環境が整っていない場合もあるでしょう。早く芽を出したことによって、草取りされてしまうかも知れません。

早く芽を出したほうがいいかも知れないし、遅く芽を出したほうがいいかも知れない。答えがわからないからこそ、オナモミは、2つの種子を用意しているのです。つまり、種子に「個性」を持たせているのです。個性があることは、オナモミの戦略なのです。

バラバラであることに意味がある

成長が早い子どもと、成長がゆっくりな子どもがいます。

体の大きい人と、体の小さい人がいます。

作業の早い子どもと、作業がゆっくりな子どもがいます。

覚えの早い子どもとゆっくりと覚える子どもがいます。

はたして、どちらがよいのでしょうか。オナモミの答えを考えれば、もうわかるはずです。そう、「どちらがよいかは決められない」ということです。どちらもあることがよいのです。

自然界の生物は、このようにバラバラな性質を併せ持っていることがよくあります。オナモミのような雑草の多くは、早く芽を出したり、遅く芽を出したりと、成長のスピードがバラバラです。庭や畑で、抜いても抜いても雑草が生えてくるのは、そのためです。

いつ芽を出すのが正解か、という問いに対して答えはありません。答えのないものに対して、自然界の生物は「バラバラであること」で乗り越えようとしているのです。

例えば、タンポポの葉っぱもギザギザの鋭いものや、ギザギザの少ないものなど、さまざまな形があります。どうして葉っぱの形はバラバラなのでしょう。

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