このデータは、最新の2020年1~3月のデータだ。売り上げから月商を計算し、そして、それを企業の保有現金と比べた。
まず全産業でも1.8カ月分の現金しか有していない。売り上げが仕入れ先の支払いや、従業員への給料支払いとなる。だから、日本全体で見れば、1.8カ月の売り上げがなくなれば、すぐさま現金が底をつく。
この数字は製造業と同じだ。非製造業のうち、宿泊業と飲食サービス業は2.1カ月と1.6カ月となっている。目の前では、ほとんどの企業が緊急融資を受けたことが明らかになっており、なんとか耐え忍んでいる状況だ。しかし、本来は、2.1カ月と1.6カ月しか現金を有しておらず、決して分厚い財務体質ではない。
もちろん自粛や、それに伴う休業補償の議論も重要だ。しかし関連産業と合わせて400万人が働くとされ、さらに規模でいうと25兆円ほどの観光産業は、やはり一人ひとりがお金を使うことでしか復活できない。
分散とリスクマネジメント
考えるに、自宅では家族と同室で寝ているはずで、旅行先でも家族で過ごせば感染リスクが高くなるとはいえない。移動時に気をつけ、旅先でも不特定多数と交わらなければいい。そういった冷静な議論が出てきたことはいい傾向だと思われる。
大手企業はいざ知らず、小規模な世帯で商いをするならば、取引先や事業の分野を分散しておくのは、危機管理の1つだ。たまに、1社からの受注のみで、売り上げのほとんどを占めている企業がある。災害だけではなく、その場合、両者(社)の関係が悪化したら食いぶちを失ってしまう。クライアントやサービスを分散すると、利益額や利益率も下がるが、苦しい道を選んだ会社は今をしのいでいる。
経営は勝つゲームではなく負けないゲームだ。とにかく分散。そして、できるものは何でもやる。最後にジョージ・ソロスの言葉を紹介しておきたい。「とにかく生き残れ。稼ぐのはそれからだ」。
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