もっとクールなラグジュアリー墓石はないのか
まず、青山霊園に初めて入って思ったのが、結構緑が多くてきれいな環境だということだ。ゲゲゲの鬼太郎に出てくるようなおどろおどろしいお墓の風景ではなく、むしろ深緑にお花が混ざり合って、週末のデートコースとまでは言わなくても、朝の散歩がてらご先祖参りするにはちょうどいい立地と雰囲気である。ただしもったいないのは、大昔からの由緒正しい墓石なのだろうが、あまりにも(墓石の)損傷が進んでいて、せっかく高台の一番上の日当りのよい場所に大きな面積を占めているのに、肝心の墓石がイマイチなお墓が多いことだ。
この古い墓石の損傷問題に関しては、お墓の表面をきれいに削れば往年の石の輝きを取り戻せるだろう。またひょっとすると“いかにも墓石”といった灰色の暗いカラーから、ホテルで使われているようなマーブルグリーンやベージュの、モダンで明るい墓石にリフォームするサービスがあったらどれほどいいだろう。
なお、あの参拝客に恐怖心を呼び起こす卒塔婆はすべて廃止し、もっと墓参りしたくなるような、たとえばフラワーガーデンにしてお花を周りに植えまくるとか、「お墓=さみしい場所」という負の印象を取り払う努力がなされてもよいのではないか。霊園運営者のさらなるイノベーションに期待したい。
お墓コンドミニアム~お墓の土地不足の解決策
次に思ったのが、青山霊園は広いが、スペースがないくらいぎっしりお墓密度が高いということである。未来永劫、死者の数は今後も増加していく。ただでさえ人口の割に国土が狭くて生きている人間の住む場所がないことも多いのに、死者に潤沢なスペースを割き続けるのは、早晩壁にぶちあたる問題である。
この問題の解決のヒントは、青山霊園の周囲を見渡せば誰しもが見つけ出すだろう。そう、一昔前のマンションは3階建てとか4階建てなどで許容できる世帯数も少ないのに対し、最近の大型高層マンションは40階建て、50階建てもザラであり、おかげで都心の一等地により多くの人々が居住できるようになっている。
生きている人間ですら、限られた土地を有効活用すべく高層マンションに住むようになっているのだから、死んだ後でも一等地に住みたいのなら、お墓も高層コンドミニアム形式にして土地を有効利用すべきではないか。そこのコンシェルジュサービスでは菊の花のデリバリーや墓石のクリーニングを依頼でき、電話でお坊さんを呼べるサービスをつけたり、死後の住居を高層コンドミニアム化したりすることも検討されてしかるべきテーマであろう。
これが実現すれば、延長線上で死後、宗教を問わずお墓ができるまで安心して骨を預けられる“お墓ホテル”や、“お墓は石でできていて外気にさらされているもの”という固定観念を打破した、室内式ファイブスターお墓といった新たな“死後サービス”につながるかもしれない(ちなみに日本でも、室内でベルトコンベヤー式で、お参りにいくとお骨が目の前に運ばれてくるサービスが既に提供されているとのことである)。
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