自衛隊装甲車「エアコン装備が後れすぎ」の面妖 旧日本軍と同様「根性」依存のままでいいのか

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ところが、筆者が国土交通省に取材したところ、道路法の規制には例外があって、横幅が2.5メートル以上の車両でも国交省に許可を取れば認められるとのことだった。防衛官僚の正確な意図はわからないが、外国製品を排除するための詭弁だった可能性はある。事実、2016年に導入された16式機動戦闘車は全幅が3メートル近くあるが問題なく導入された。道路法が改正されたわけではない。

もし東日本大震災が夏場に発生していたら福島第一の偵察に大きな支障を来していただろう。防衛省はNBC対処を極めて軽く見ている、あるいは起こらないと考えていたのかと思えてくる。

また今後、新型コロナウイルスの感染爆発が起こって、例えば一定の地域を封鎖するケースがあったら、陸自の化学科だけで対応するわけではない。陸自の普通科などにも人手を求めることになるはずだが、エアコンの装備されていない96式装甲車、82式指揮通信車、87式偵察警戒車などが夏場のNBC環境下で役に立つかといえば相当苦しいはずだ。

機器冷却用エアコンの出力向上で代替も

新型の10式戦車にしても乗員用エアコンは装備されていない。技術研究本部(現・装備庁)も陸幕も要求仕様に盛り込んでいなかった。だが機甲科OBらの「これではあんまりだ」という声もあって、製造元の三菱重工が機器冷却用のエアコンの出力を多少高めて、乗員が多少「おこぼれ」をあずかれるようになっている。無論本格的に車内を冷却できるわけではない。それ以前の90式、74式戦車も当然エアコンは装備されていない。

2016年に採用された16式機動戦闘車にもエアコンは装備されていなかったが、財務省からの強い要望によって本年度から調達される車両はエアコンが装備されるようになった。あわせて大日本印刷が開発した断熱材が内張りに採用されてエアコンの効率を高めている。

財務省というとコストカットばかり要求するイメージがあるが、ケチって使えない装備を調達するよりも、多少コストがかかってもまともな装備を調達してほしいと考えている。自衛隊よりもむしろ財務省のほうが軍事的な整合性に沿った決断をするように思えてならない。

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