ガソリン新税制が招く混乱、暫定措置に石油業界が困惑

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ガソリン新税制が招く混乱、暫定措置に石油業界が困惑

鳩山政権が打ち出したガソリン税をめぐる新制度が、石油業界から大ブーイングを浴びている。

現況のガソリン税は1リットル当たり53・8円。このうち、25・1円分が道路整備のため上乗せされてきた暫定税率分だ。

政府は4月からこの暫定税を廃止する一方で、同額分の新税を開始。新制度では店頭価格が3カ月連続で1リットル160円を超えた場合、同税を一時的に停止する。これで店頭価格は約25円「値下げ」されることになる。停止後、3カ月連続で130円未満の水準が続くと元に戻す仕組みで、軽油にかかる税率もガソリンに連動させる。

「国民の生活を守る」というのが大義名分だが、これに困惑するのがガソリンスタンド(GS)事業者や元売りなどの石油業界だ。

首都圏で複数のGSを展開する燃料商社の役員は「制度自体が市場の混乱を招く可能性がある」と危惧する。一様に恐れるのは2008年に起きた混乱の再来だ。当時、暫定税率延長に参議院で多数を握る民主党が反対し、4月の1カ月間だけ失効。

3月後半に大規模な買い控えが起きたうえ、課税再開直前には全国のGSに駆け込み給油が殺到。業界は一連の騒動に振り回された。

「マーケットは混乱するし、事務手続きを要するので労力、コストも余分にかかる。そんなことはやらなくてもいいのに」。石油連盟の天坊昭彦会長(出光興産会長)は1月の定例会見で新制度への困惑をあらわにした。

苦肉の暫定策

そもそも民主党は先の衆議院選挙で、暫定税率廃止をマニフェストに掲げていた。だが廃止すると、ガソリン税の暫定税率分だけで年間約1兆3000億円の税収入減少につながる。財源問題を抱える中、昨年12月に新税導入という格好で税率維持を決めた。

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