本当に強い雑草は「立ち上がらない」という真実 やみくもな根性論を押し付けてはいけない

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たとえば、ヒメムカシヨモギは、道ばたや空き地、畑などあらゆる場所によく見られるキク科の雑草である。ヒメムカシヨモギは、秋に芽生える越年生の雑草である。冬の間に葉を広げて栄養分を蓄えると、春から夏にかけて茎を伸ばして花を咲かせる。

ところが、環境の変化が激しい場所では、ゆっくりと成長して花を咲かせている余裕はない。そこで、春から夏にかけて発芽し、数週間の間に成長して花を咲かせてしまう。つまり、一年生夏雑草として、生活をしているのだ。

また、ヒメムカシヨモギは北米原産の雑草だが、冬のない熱帯地域に広がったものは、越冬の必要がないから、もっぱら多年生雑草として暮らしている。こうして、臨機応変に、その暮らしぶりさえも変えてしまうのである。

所詮は人間が決めたもの

分類というのは、人間が植物を理解するために、勝手に作っているだけのものに過ぎない。図鑑もそうである。雑草の立場に立ってみれば、別に図鑑のとおりに生えなければいけないという義理はまったくないのだ。

図鑑の説明というのは、私たちが勝手に決めている「制約」であったり、「固定観念」だったりするかも知れない。

業界や業種など、私たちは勝手に区別をして分類している。「……らしくない」「……べきである」などと、その分類にレッテルを貼って、わかったつもりになっている。そして、勝手に自分たちで枠を決めたり、勝手にあるべき像を描いているのだ。

しかし、そんなものに縛られる必要はない。私たちはもっと自由に発想していいのだ。

「誰かが決めた『べき』を捨てよ」

図鑑に書かれたとおりに生えることを知らない雑草たちを見ていると、そう思わずにいられない。

「雑草は踏まれても踏まれても立ち上がる」

もしかすると、雑草に対してそんなイメージを抱いていないだろうか。
残念ながら、それは誤解である。

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