東京五輪施設、現地を覆う「1年延期」の視界不良 本来なら2020年8月9日が閉会式だった…

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当面は辰巳の営業継続で水泳関係者のニーズには応えられるだろうが、真新しい水泳場が使われないままたたずんでいる現状は、やはり違和感が残る。

今年2月にこけら落としが行われた「有明アリーナ」(写真:筆者撮影)

辰巳から南西方向に2キロメートルほど進むと、有明地区がある。

このエリアは、テニス会場の「有明テニスの森」、自転車競技とスケートボードが行われる「有明アーバンスポーツパーク」、体操会場の「有明体操競技場」など、複数施設が林立している。中でも、今年2月にこけら落としが行われた「有明アリーナ」は、バレーボール会場として連日、多くの人が訪れていたはずだった。

けれども、周辺に観光客の姿は皆無。通りすがりのインド人風のビジネスマンが体操競技場の記念撮影をしていたくらいで、あとは地元住民がパラパラと歩いているだけだった。

肩すかしを食った商業施設

五輪延期の余波を受けたのが、6月17日に開業したばかりの「有明ガーデン」。同エリアはもともと商業施設が少なく、コンビニが数店ある程度だった。「五輪開催時に大挙して訪れる人々が買い物をする場所がない」という懸念も大きかった。

「有明ガーデン」で混雑するのはキッズゾーンくらい(写真:筆者撮影)

有明ガーデンはこうしたニーズの受け皿になると期待されていた。が、最大の繁忙期になるはずだったこの時期に、来館客はそれほど多くない。

混雑が目立つのは、夏休みに入った子どもたちが集まるキッズゾーンくらい。1階のイオンスタイルでさえ、レジの待ち時間がほぼなかった。

「専門店街の中には、外国人客を想定した陶器やお茶など、和の商品を扱うお店もあるんです。そういうショップにとっては誤算でしょう。ただ、買い物難民だった地元住民にとっては、これだけの大型商業施設ができたのは本当にありがたい。五輪開催期間は連日、多くの人が殺到し、お店も大混雑するのを覚悟していたので、これだけ空いているのは助かります」(イオンスタイルを訪れた地元在住の主婦)

有明ガーデンと同じ住友不動産が開発し、8月1日にオープンしたホテル「ヴィラフォンテーヌグランド東京有明」も、インバウンドの消失で少なからず影響を受けているようだ。

これら商業・宿泊施設は、東京五輪関連の優良施設と評される有明アリーナの恩恵を受けるはずだった。総工費約370億円を投じて建設された同施設は、東京五輪の新設6施設のうち、唯一の黒字化施設ということで、非常に期待が大きかった。

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