まさに薄氷の勝利だった。
東芝が7月31日に開いた定時株主総会で、車谷暢昭社長兼CEOの取締役選任案への賛成比率は57.96%にとどまった。
総会ではアクティビストファンド(モノ言う株主)とされる外資系投資ファンド2社がそれぞれ独自の取締役候補を提案して東芝と対立。車谷氏は過半数を獲得して取締役に選ばれたが、ギリギリの信任となった。
エフィッシモの候補は4割超を獲得
東芝が8月4日に関東財務局へ提出した臨時報告書で判明した。車谷氏への反対比率は18.96%だった一方、総会当日の議決権比率で約15%保有していた筆頭株主のエフィッシモ・キャピタル・マネージメント(シンガポール)の創業者で、旧村上ファンド出身の今井陽一郎氏が43.43%の賛成を集めた。反対は54.77%だった。
エフィッシモはほかに、弁護士の竹内朗氏と元花王執行役員の杉山忠昭氏を候補に提案しており、賛成比率はそれぞれ41.95%、37.68%だった。もう1つの3Dオポチュニティー・マスター・ファンド(シンガポール)が提案した2人の候補者の賛成比率はいずれも31.14%だった。
エフィッシモは、東芝のグループ会社で1月に発覚した架空・循環取引を問題視。東芝が公表した調査報告書が不十分でガバナンス上問題があるとして、独自の取締役候補を提案していた。ゴールドマン・サックス証券日本法人出身の長谷川寛家氏らが設立した3Dも、「形式だけではない本質を伴うコーポレート・ガバナンスを整備すべき」と指摘し、2人の社外取締役の選任を要求するとともに、車谷氏に反対の議決権を行使すると言明していた。
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