金価格はいったいどこまで上昇するのか? 1トロイオンス=2000ドル台はもはや通過点か

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これまで金は、有事の際や地政学的リスクの高まりの際、さらに金融市場の混乱が起きたときに買われる「安全資産」としてみなされることが多かった。しかし、近年では株価が上昇している最中でも買われるようになっている。

要はカネ余りが背景にあるのだが、その根本的な原因を作っているのがまさに米政府とFRBの政策なのである。株式と債券の市場規模は合わせて最大200兆ドルと推定されているが、推計5兆ドルとみられる金市場にこれらの資金が流入すれば、影響はきわめて大きい。その場合、金価格はほぼ機械的に押し上げられることになる。この流れはそう簡単には変わらないだろう。

2032年に「約5000ドル」の試算も

金に関して、もうひとつ興味深い考え方を披露しよう。米ドルの資金供給の増加が金相場の上昇要因の一つだとすれば、マネタリーベースとの比較が良いヒントになる。実際、チャートを見ると、これまでの米マネタリーベースの増加と金価格の上昇は連動しているように見える。だが金価格をマネタリーベースで割ると、いまの金価格がマネタリーベースの伸びに比べてまだかなり低いことがわかる。

では、もしマネタリーベースが今後も増加すると仮定した場合、金価格は将来どうなるのだろうか。1968年から現在までのマネタリーベースの伸びは、月間で0.7%である。このペースであと12年マネタリーベースが増加すると仮定した場合、金価格は2032年に4950ドル程度にまで上昇するとの試算が成り立つ。

『金を買え 米国株バブル経済終わりの始まり』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

さらに、マネタリーベースが今後月間で1%ずつ伸びると仮定すると、12年後の金価格の推計値はなんと7500ドル程度に跳ね上がる。さらに、これはさすがに現実的ではなそうだが、マネタリーベースが月間で1.5%増加するとした場合、12年後の金価格の推計値は1万5500ドルにまでさらに跳ね上がるという試算も成り立つ。

こうした机上の計算は、空論と言われそうだが、これまでの金価格の上昇ぶりや、今後もFBRが資産買い入れを継続することなども考慮すれば、金価格がこうした価格に達するという考えも荒唐無稽なものとは言いきれない。

今後もFRBによる資金供給が止まらずドルの減価が進むなら、必然的に金価格は上がっていかざるを得ないという考えは、これまでも、そしてこれからも有効であろう。数年後、数十年後の金価格を想定すれば、それこそ5000ドルや1万ドルといった想像もできない価格水準になっても私は驚かない。

原油相場は長らく1バレル=10ドル台で取引されていたが、2000年代に入ると急伸し始め、最終的には150ドル近くまで上昇したことは記憶に新しい。金価格もつい15年前までは、500ドル以下の水準での取引が常態化していた。したがって「5000ドルなど、絶対に上昇するはずがない」などとは言い切れないのが、現在の金市場の実態である。

江守 哲 コモディティ・ストラテジスト

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えもり てつ / Tetsu Emori

1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事入社。2000年に三井物産フューチャーズ移籍、「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場分析および投資戦略の立案を行う。2007年にアストマックスのチーフファンドマネージャーに就任。2015年に「エモリキャピタルマネジメント」を設立。会員制オンラインサロン「EMORI CLUB」と共に市場分析や投資戦略情報の発信を行っている。2020年に「エフプロ」の監修者に就任。主な著書に「金を買え 米国株バブル経済の終わりの始まり」(2020年プレジデント社)。

 

 

 

 

 

 

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