OPEC減産でも原油価格は「暴落」しかねない 1バレル50ドルを大きく割れる可能性も?
原油価格が急落、低迷している。指標となるWTI原油の価格は1バレル=50ドル割れ目前。10月3日には一時76.90ドルまで上昇したが、そこから11月28日につけた安値50.06ドルまで約35%も下落した。
70ドルを超えたころには、「2019年は100ドルを目指す」との声もあった。筆者もその可能性があると思ったが、今やそのわずか半値の水準にまで下げている。筆者は、「WTI原油が今年中75ドルまで上昇する」との見通しを繰り返し示していたが、このターゲットに達したことで、見通しは一定程度正しかったと考えている。しかし、その後の急落までは想定できていなかった。
原油価格が想定外の下げになった6つの理由
激しい下げになった理由は複数ある。①アメリカの中間選挙を前に、ドナルド・トランプ米大統領が、石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどの非OPEC加盟国に対して、増産を依頼した、②イランから原油を輸入している国に対して、イラン産原油の輸入を止めるように要請したものの、最終的に一定期間の輸入を認めたことで供給逼迫懸念が後退した、③アメリカのシェールオイル生産が拡大、同国の原油供給が過剰になっていることの3つだけではない。
そのほかにも④ドルが対主要通貨で上昇し、ドル建てで取引される原油価格の割高感が強まったこと、⑤トルコのイスタンブールにあるサウジアラビア総領事館で10月2日に起きたサウジアラビア人記者ジャマル・カショギ氏殺害事件に関して、アメリカがサウジに圧力を掛ける中で原油安を誘導した可能性、などが挙げられる。さらに⑥10月中旬以降の株価の急落も、原油価格の下げを助長した可能性があろう。今となっては、これだけ材料が揃ってしまえば、原油価格が高値を維持するのは難しかった。
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