米中関係はいよいよ6月末以降一段と悪化する

最悪の場合、貿易合意の破棄に発展の懸念も

米中両国の関係は再び悪化するのだろうか。そうなるとマーケットも大きく動くかもしれない(写真:ロイター/アフロ)

ドナルド・トランプ米大統領は6月17日に「ウイグル人権法案」に署名、法案が正式に成立した。この法案では政権に対して、ウイグル族の弾圧に関して責任が認められる中国の当局者に制裁を科すように義務付けており、米中関係をさらに悪化させる可能性が高いとされている。

「ボルトン暴露本」そのものは「想定の範囲内」

トランプ大統領はこれまで貿易交渉に影響を及ぼすことを嫌い、中国の人権問題に関しては深入りするのを避けていた。だが、結局は署名し、態度を一変させる格好となった。

もともとこの法案は5月14日に米上院で全回一致、同27日には下院で431対1という圧倒的多数で承認されている。そのため、拒否権を行使しても議会で覆されるのが明らかだったことから、当初、大統領は恐らく署名することなく自然成立させるつもりだったものと思われる。

ところが同日にジョン・ボルトン前国家安全保障担当補佐官の政権暴露本の内容の一部がメディアによって公表された。その中ではトランプ大統領は「ウイグル人収容所への理解を示し、中国政府に建設を後押しした」とされた。これを受けて大統領は、人権を重視する姿勢を明確にする必要が出てきたのだろう。

さらにボルトン氏の暴露本では、トランプ大統領が昨年のG20で中国の習近平国家主席に対し、「中国が大豆などの農産物の購入を増やすことが、米農家の支持拡大につながり、自らの再選に大きく影響する」として、中国の支援を強く求めたとされている。

米政権は16日、適切な精査を受けていないとして出版の差し止めを求める訴えを起こした。だが、翌日にメディアがその内容の一部を明らかにしたこともあり、ワシントンの連邦地裁は20日、出版の差し止めが致命的な損害を防ぐことが出来るとの立証はできないとし、この訴えを棄却した。

もっとも、本の内容はトランプ大統領にとっては気に食わないものだったのかもしれないが、そのほとんどは彼の性格やこれまでの言動を見る限りでは「さもありなん」というものであり、新鮮味には欠ける。もちろん熱狂的な支持者は、これを信じようとはしない。たとえ新たな事実がでてきても 、マーケットや秋の大統領選に大きな影響を及ぼす可能性は低いと見てよいのではないか。

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