米中関係はいよいよ6月末以降一段と悪化する

最悪の場合、貿易合意の破棄に発展の懸念も

一方で、ウイグル人権法案が正式に成立したことについては、今後、市場への影響もかなり大きなものになると考えておいたほうがよさそうだ。中国外務省はアメリカに対し、誤りを直ちに是正するとともに、「同法を使って中国の利益を損ね内政干渉するのをやめるよう強く求める」とした。そうしない場合は「断固として対抗措置を取る」との声明を発表しているが、今のところまだ具体的な行動には出ていない。

農産物の買い付けといった、いわばお金で解決できる問題に関しては、中国側もこれまでかなりの譲歩を見せてきた。だが、人権問題などの内政に関する問題に関しては、一歩も引く構えを見せていない。

香港やウイグルはあくまで「中国の内政問題」

中国は、先の全国人民代表大会では、今年度の経済成長目標の設定を諦めた。それほど同国経済はガタガタだ。にもかかわらず、香港に対しては、西側諸国から猛反発を食らうのが明白なのに、国家安全法案をまとめたのを見ても、その意志の強さが表れていると言える。つまり、政権に対する求心力の維持にもっとも不可欠な経済成長は諦めても、香港やウイグルはあくまでも国内問題であり、外国の干渉は断固として排除するということなのだ。

香港の国家安全法に関しては、6月28-30日に開かれる全人代の常務委員会で審議される予定だ。そこで正式に成立する可能性が高い。新華社通信が公表した法案の草稿では、香港の独立した法制度に優先するとの記述がある。成立すれば中国から独立した法制度を持つ香港の金融センターとしての地位が脅かされる恐れは、極めて高い。「一国二制度」そのものが、崩壊の危機に瀕していると言っても過言ではない。

もし中国が香港に国家安全維持法を成立させることによって、香港問題に一つの区切りをつけることができれば、次にウイグル問題に関してアメリカへの報復措置を打ち出してくることになるだろう。米農産物の買い付けに関しては、中国もある程度の必要としているものでもあり、すぐに何らかの行動を取ることはないと思われる。だが、もしアメリカ側がウイグル法案に基づいて新たな制裁を打ち出してくることがあれば、トランプ政権にとって大きな打撃となる買い付けの停止などの措置に打って出ることも十分に考えられる。

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