日本の原発の「是非」今こそ議論の必要がある訳 グリーン・リカバリーのビジョンを描くために

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日本においては、ここまでの緊急経済対策にグリーン・リカバリーの内容を明確に打ち出してはきていない。また以前より、日本は気候変動対策に長期的な戦略を持たず、消極的であるとして国際社会からしばしば批判を浴びてきた。これから、日本はどのようにグリーン・リカバリーを成し遂げることができるのだろうか。

気候変動対策は、エネルギー政策と切り離すことはできない。2013年度の日本の温室効果ガス排出総量は約14億トン、そのうち約88%をエネルギー起源のCO2が占める。日本のようにエネルギー自給率の著しく低い国においては、気候変動対策とあわせて、エネルギー安全保障とどう向き合うかということも、構造的かつ現実的課題である。

冒頭のビデオ会議で、環境省は脱炭素に向け再生可能エネルギーの需要促進に強く関与していくことを宣言した。また、エネルギー政策を所管する経産省は、新型コロナウイルス後の経済・社会には「医療・健康」「デジタル」とあわせ「グリーン」への取り組み強化が必須であるとし、以前より推進する「3E+S」「エネルギーミックス」を軸に、ゼロ・エミッション電力と呼ばれる、発電時にCO2を排出しない再生可能エネルギー、原子力エネルギーの重要性を強く主張している。

・3E+S:安全性(Safety)を大前提に、安定供給(Energy Security)、経済効率向上 (Economic Efficiency)、温室効果ガス排出削減(Environment)を追求する。

・エネルギーミックス:2030年までにエネルギー電源構成比率を再エネ22-24%、原子力20-22%、化石燃料56%とすることを目指す方針。

(参考 2010年度(震災前) 再エネ7%、原子力11%、化石燃料82% → 2016年度(震災後) 再エネ10%、原子力1%、化石燃料89%)

障壁となる原子力

しかし、この政策の推進には大きな課題が残る。今後の原子力発電の不透明性である。2020年現在稼働している原発は9基にとどまり、原子力発電が電源構成に占める割合はわずか3%、20~22%という目標を大幅に下回っている。

発電時にCO2を排出しない原子力は、日本の脱炭素化にとっては非常に重要な意味を持つ。また原子力は燃料の備蓄性が高く、少量の燃料で大きなエネルギーを生産できるため、化石燃料を持たない日本にとって、エネルギー自給率の向上に寄与できる貴重なエネルギーである。にもかかわらず、福島原発事故後、原子力への国民の信頼は依然失われたまま、原子力発電の稼働率は大きく落ち込み戻っていない。その結果、原発事故前に20%あったエネルギー自給率は現在10%を下回る。

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