林真理子が考える「コロナ時代」の作家の使命

"激動の時代"を執筆中の作家が見た「この半年」

『風と共に去りぬ』の超訳小説を執筆中の作家は、コロナ禍の今、何を思うのか(写真:丸山隆子)
外出や移動の自粛、テレワークの浸透など、ここ数カ月で人々を取り巻く日常が様変わりした。不安定な世の中で、作家は何を思い、何を書くのか。
名作『風と共に去りぬ』の超訳小説『私はスカーレット』を執筆中の林真理子氏に、コロナ禍に思うことや作家活動を通して伝えたいことを聞いた。

コロナ禍で「物書きでよかった」と実感

――新型コロナウイルスの感染拡大により、人にもあまり会えず、外出もできないという状況が続いています。林さんはさまざまな文学賞の選考委員やスポーツ支援、震災遺児支援など日ごろから精力的に活動されているイメージがありますが、緊急事態宣言中はどのように過ごされていたのでしょうか。

自粛期間中ほど、物書きでよかったと思ったことはないかもしれません。もともと外に出る仕事ではないので、新型コロナウイルスの影響もほとんど受けていないんですよ。

ただ、ちょうど4月から週刊誌の連載小説が始まったので、いつも以上に書くことに向き合わなければならない時期でもありました。週刊誌はとにかく締め切りがハードなうえ、私は手書きということもあって、通常より早めの締め切りを設定されてしまったんです。出版社も営業時間を短縮していたので。

講演会や会合、対談の仕事がキャンセルになって人と会う機会もなかったのですが、一度友人とZoom飲み会をやりました。あれは若い人がやるものだと思っていたけれど、年齢は関係ないですね。顔を見て話すのは、やはり楽しいものです。

かなり集中して読書もしました。断捨離もかねて昔買った本を引っ張り出してきたのですが、『平家物語』や17世紀末のフランスの小説『クレーブの奥方』などは今読んでも面白かったですね。世界文学全集もこの際再読しようと思ったけれど、さすがに全部読むのは無理でした。

最近の作家の本にも目を通しています。人に勧められて読んで面白かったのは、今年の本屋大賞を受賞した『流浪の月』。作者の凪良ゆうさんはボーイズラブ小説を長く書いていた人。

バブル期に少女小説が飛ぶように売れて、その後一気になくなりましたが、唯川恵さんなど実力派は今では大人の作家として活躍しています。ライトノベルも「ここからどんな人が育っていくのかな」と注目しながら読んでいます。

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