中国から「謎の種が届く事件」を解く有力な推理 不正レビューが成立するための巧妙なカラクリ
これらの理由を専門家に質問したところ話してもらえたのが以下の内容です。
そもそもインターネット通販で商品が海外から送られてくるケースが増えているのは、海外からのほうが郵便料金が安いことです。実際アマゾンなどでUSBケーブルのような小物を買うと中国から定形外郵便に入って届くのですが、これが都内から発送するよりも安い。
具体的には普通郵便で20gまで5人民元(約76円)ですから日本国内の84円よりも安い。ところがこの国際郵便のルール、途上国のほうがより有利になっていて、ベトナムからの発送だったら20gまで1万5000ベトナムドン(約65円)の郵便料金になります。
ベトナムから送られた郵便物は日本の税関を通った後、実質的に日本郵便のコストの持ち出しになって配達されるのですが、そこは国際条約があるために仕方がない。途上国から日本に届く郵便の配達は国内郵便業者の義務のようなものなのです。
ここに「種がベトナムから送られる」理由があります。郵送コストがただ同然に安いことと、荷物の中身も同様にただ同然で手に入る種だということが不正業者にとっては重要なのです。
さてここから先はあくまで推理ですが、おそらくこういうことが行われているという手口の話です。
不正レビュー業者によって作られるラベルは2枚
不正レビュー業者は通販出品業者からの依頼で架空アドレスを使って架空の購入をします。出品業者は架空アドレスの架空住所向けに発送するための中国郵政のラベルを打ち出します。このラベルはプリントアウトするだけで使いません。しかしプリントアウトしたことでラベルの番号がアメリカの大手通販事業者の記録に残ります。
不正レビュー業者は、別ルートで名簿業者から実在する日本の住所のリストを手に入れます。この送り先は実は何でもいい。今回の手口では過去に全然別の商品を全然別の業者から買った日本人の名簿が使われるケースが多いようです。
不正レビュー業者によって作られるラベルは2枚あって、ひとつはベトナムから日本に種を送る正規の郵送ラベル。もうひとつは途中で貼りかえる中国郵政の偽造ラベルで、その偽造ラベルに印刷される番号が先ほどの架空注文のラベル番号と同じで、住所だけが実際に存在する無関係の日本の住所宛に変更されたものになっています。
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