中国から「謎の種が届く事件」を解く有力な推理 不正レビューが成立するための巧妙なカラクリ
そもそも何が行われているのかということから話しましょう。大手通販サイト上で化粧品や健康食品など利幅が大きな商品を売っている業者がいるとします。ここはあくまで一般論の前提です。たとえ本当はたいした効果がない商品だとしてもサイト上で過去の購入者からたくさんの「星5つ」の評価(注:一番良い評価)と好意的なレビューが書き込まれると、サイト内で目立つところに表示されるなどの恩恵があり、同時に目に見えて売れ行きが上がるという事実があります。
そこで不正に良いレビューを書き込んでくれる仕事を専門に受けてくれる不正レビュー業者が暗躍します。
この不正業者は大量に作ったメールアドレスを使って大手通販会社の大量の架空アカウントを作ります。サイトに登録する日本の住所も架空です。そして出品業者からの依頼を受けて、これらの架空アカウントを使って商品を購入します
実際に商品が送られないとレビューが書き込めない
これまではそこで不正レビューを依頼した出品業者は架空注文に対しては商品を架空で発送したことにして、少し時間をおいてその架空アカウントでレビューを書き込んでもらっていました。ところがそのような不正の手口を通販サイトの運営会社が察知したためにレビュールールが変更されます。実際に商品が送られて相手に配達された記録が残らないと不正業者がレビューを書き込むことができなくなったといいます。
ところが不正レビュー業者の作った架空アカウントに登録されているのは架空の住所なのでそこに商品を送っても日本郵便が配達完了してくれません。送り先不明で戻ってしまいます。一方でもし新たに実在する住所氏名で架空アカウントを作った場合、今回のように商品を送った段階ですぐに不正アカウントだとばれてしまいます。だから不正アカウントを大量に作れなくなる。これがサイト側の防止策です。
そしてこの不正レビュー防止策をかいくぐる目的で開発されたのが今話題となっている「種を送る仕組み」だというのです。
先に述べたとおりメディアの取材で送られてきた種が入っていた国際郵便物について2つの事実が判明しています。ひとつは表面に貼ってある中国郵政(China Post)のラベルが偽造であること。もうひとつがそのラベルを剥がすと下からベトナムの郵便のラベルが出現することです。
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