「ゲーム脳の信憑性」を現役医師が怪しむ理由 「脳の活動を低下させる」とまでは言い切れない

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〈表情が乏しく、身なりに気をつかわない人が多いようです。気がゆるんだ瞬間の表情は、痴呆者の表情と非常に酷似しています。ボーッとしているような印象です(中略)自分勝手であること。羞恥心がないこと。そういった人間らしさが乏しい印象の人は、ゲーム脳人間か、ゲーム脳人間になりかかっている危険があります〉

かなり極端で刺激的な見解だが、この本が刊行される2日前には、毎日新聞(2002年7月8日付)が著者の研究成果を詳しく報じ、他紙やテレビが後追い報道し大きな話題を呼んだ。『ゲーム脳の恐怖』の発行部数は12万部を超え、「ゲーム脳」という造語は、瞬く間に世間に定着した。

信憑性に欠ける「ゲーム脳」の主張

今や広くその存在が知られている「ゲーム脳」だが、眞鍋教授は「医学的に『ある』と証明されているわけではない」として、こう続ける。

「この本では、テレビゲームを週4〜6日、1日当たり2〜7時間やっている人は、脳の活発さを示す『ベータ波』が低下しており、この状態が『ゲーム脳』の正体だと主張しています。しかし、どのような脳波計を使って測定したのかが記されておらず、その精度が十分だったかには疑問が残ります。もし信用できる機材を使った研究データなら、本にするだけでなく論文として発表しているはずですが、それもない。この本に書かれている内容だけでは、『ゲームが脳の活動を低下させる』とは言い切れないでしょう。

そもそも、現代の医学では、脳波だけでなく、fMRI(磁気共鳴機能画像)という機器を使って脳の機能活動も併せて調べるのが常識ですが、少なくとも私はそうした最新機器を使った研究のなかで『ゲーム脳』があると証明した論文を見たことはありません」

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