チョコレートスパークリングは、今回、チャネル関係者というDMU(Decision Making Unit=購買関与者)のハートをまず、つかんだところがKSFだったのだ。残念ながら、「ラブモードジンジャー」はコンビニチェーン各店でだいたい2フェイス程度しか獲得できていなかったように記憶している。「チョコレートスパークリング」は多いところでは5フェイス獲得している。JRエキナカのコンビニ「ニューデイズ」の狭小店舗でも4フェイス獲得しているのも確認した。バレンタインまでまだ少し時間がある。さらに、目にして手に取って、飲んで「あま~い」という感想を持った消費者のクチコミはさらに加速するかもしれない。
景気が低迷し、消費者の財布の紐はいまだ固く引き締められている。飲料の需要も、ミネラルウォーターは水道水の浄水で、茶系飲料は茶葉から淹れるという用いられ方で代替され売上げが落ちている。炭酸飲料カテゴリーは唯一、自分では作ることができないからかろうじて売上げが落ちず、微増を保っている状況だ。炭酸は茶系ほどの常用性はない。「スッキリしたい時」や「ちょっと甘い物が飲みたい時」などのスポット需要がほとんどだ。
1年前のサントリーの発表では、2008年の日本の炭酸飲料市場は2億1800万ケースだと試算されたようだ。季節限定商品や変わり種ペプシがそこに占める割合は極めて、極めて小さい。しかし、市場を支えるためには消費者への刺激が欠かせない。
あま~いチョコレートフレーバーの飲料の影には、そんなメーカーのちょっとほろ苦い想いが詰まっているように感じた。
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
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