中学入試の社会「共通テスト」が与える深い影響 大学入試改革で、中学入試はこうも変わる

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2020年の大問3を見てみましょう。「地理の学習では、地域と人間との関係性を読み解くことや、ものごとの空間的な分布を読み解くことを重視しています。そのため、人間の移動やモノの輸送は重要な研究テーマになります。」という前述があり、山形県酒田市飛島の地形図と衛星写真を並べて、「①島の西側に比べて東側に集落が集中している理由を記述させる問題」が出題されました。

その後、1980年と2015年の人口ピラミッドを並べて、2015年は著しく高齢化が進み、若年層が極めて少ない様子は読み取れますが、それでは1980年代では15~19歳と35~39歳の人口が少ないことを表記し、「②なぜその年齢層が島を離れることになったのかを考えて書かせる問題」が出題されています。

①は冬に吹く北西の季節風の影響であることを解答すること、②は飛島に高等学校がないため、高校に進学するために親子で島外に出る必要があったという記述が求められます。

①は正答率が高い問題ですが、②は今まで培った知識とプラスアルファの地形図や統計グラフをもとに思考し、論理的に伝える記述力が問われる問題になります。

渋幕の問題は東大に通じる

渋幕の問題は、2020年の東京大学の入試問題にも通じる力を問うています。東大の地理では、5つの県の土地利用についてまとめた表を提示したうえで、「高知県と香川県では、ある重要な資源をやり取りしている。資源の名称と、このようなやりとりが生じる理由を、この資源の供給と消費の両面から合わせて3行以内で述べなさい。」という出題がありました。

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