中学入試の社会「共通テスト」が与える深い影響 大学入試改革で、中学入試はこうも変わる
この資源は水です。
瀬戸内地方の香川県は、降水量が少ないですが、高知県と比べて人口が多いです。さらに、香川県の讃岐平野では、水資源を大量消費する稲作などの農業や、工業が活発です。一方で、太平洋岸の高知県は、季節風や台風の影響で、多雨であり、降水量が多いです。香川県に比べると山がちな地形で、人口も多くありません。そのため、香川用水などで、高知県の水を香川県に移しています。
この問題は、前提として、香川県が少雨、高知県が多雨であることを知識として知っており、表の数値から、人口規模の違いを問われていると考えて、記述を進める必要があります。
渋幕の問題と同様に、今まで培った知識と、新たに提示されたプラスアルファの図表をもとに思考し、論理的に伝える記述力が問われているのです。
社会科の学習のコツは?
思考力といっても、基本がしっかりしていなければ論理的に考えることはできません。まずは基礎知識が重要です。基礎知識が定着していなければ問題は解けないといっても過言ではありません。私が考える、社会科の学習のコツは次のようなものです。
まずは各地の気候区分を最初にしっかり理解しましょう。各地の気温と降水量を理解することは、地理を学ぶ基本です。例えば、北海道と沖縄の気温と降水量には大きな違いがあります。そのため、生活様式や産業が大きく異なっています。まずはこの気候を理解したうえで、農業・工業・貿易を押さえていきましょう。
ほとんどの学校の中学校1年生の社会科では、世界地理を学びます。日本国内での違いと同じく、気温と降水量が異なれば各地の生活様式は大きく異なります。入試問題で気温と降水量のグラフ(雨温図)が毎年出題される学校は、社会科の先生方のこのような思いから出題されているのではないでしょうか。
グラフには作者の意図が大きく反映されます。例えば、よく見かける工業地帯や工業地域の工業種類ごとの製造品出荷額の割合を表したグラフ(グラフA)では、各地でさかんな工業を理解しましょう。一方で、あまり見かけないグラフにも対応できるようにしておくことが大事です。例えば、工業地帯であれば割合が大きくても全体の生産額が低い場合、必ずしも他の工業地帯、地域よりも生産額が高いわけではありません(グラフB)。
このように、グラフの作り方、見せ方によって、グラフは大きく変わります。グラフの作者が何を読み取らせたいのか、意図を考えられるといいでしょう。
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