コロナ後の「損害保険ビジネス」はどう変わるか

営業は非対面化、事故の示談対応もウェブで

――足元の保険販売への影響は?

第1四半期(2020年4~6月)の収入保険料は、前年同期比でマイナス0.8%となった。この中には自賠責保険料の料率引き下げの影響が入っており、それを除けば逆にプラス0.8%になる。2020年3月期に約2%増だったことと比べると、それほど大きな影響は受けていない印象だ。

はら・のりゆき/1955年生まれ。東京大学経済学部卒業後、1978年に大正海上火災保険(現三井住友海上火災保険)入社。市場開発部長などを経て2020年6月から現職(三井住友海上社長も兼務)(撮影:梅谷秀司)

4~5月は自動車の販売減少や住宅着工の遅れ、海外渡航の制限などで、自動車保険や火災保険、旅行傷害保険などの新規販売は減少した。ただ、損保はもともと1年更新の既存(保有)契約が多数あり、新契約が減っても保有契約の更新を確実に行えば、一気に収入保険料が落ち込むことはない。6月に入って自動車の販売台数は回復基調にあり、新規の販売は上向きつつある。

一時金支払いでは踏み込んだ

――2021年3月期のグループの業績についてはどう予想していますか。

収入保険料が減少することに加えて、海外での新型コロナによる保険金支払いが約200億円発生することを織り込んだ。株価下落などによる資産運用利益も国内外で約600億円減少すると見込んでいる。これらにより、当期純利益は前期比で約130億円の減益と予想している。

【2020年8月3日13時30分追記】初出時、当期純利益の減益額の記述が誤っていました。お詫びして訂正いたします。

株価は2万2000円台に回復しているが、新型コロナの第2波が襲う可能性や金融市場の変調を引き続き注視している。(11月の)中間決算の発表時に業績予想を見直したい。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

――新型コロナによって事業者が休業した際は、企業向け保険の多くで保険金の支払対象外でしたが、金融庁の要請を受けて損保各社は一時金として20万円を支払うことになりました。

(企業火災保険や新種保険のうち)休業損害を補償する保険は、従来は新型コロナを免責としていた。だが、今回は未曾有の国難とも言える事態でもあり、「消毒費用」として一時金を支払う改定を行った。これから加入する契約者だけでなく、対象契約を(2020年2月1日時点の契約者まで)さかのぼって、追加保険料なしで補償対象とするなど、踏み込んだ。

「週刊東洋経済プラス」にインタビュー拡大版を掲載しています。
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