次世代開発競争が迫る自動車部品会社の変革 ホンダ系サプライヤー、ジーテクト社長に聞く

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――コロナの長期化による需要低迷を見据えた事業資金の手当をどう考えていますか。

たかお・なおひろ/1960年生まれ、大阪府出身。青山学院大学経済学部卒。ホンダで経験を積んだ後、大叔父に当たる高尾清助氏が創業した旧高尾金属工業に1986年に入社。高尾金属工業と菊池プレス工業が合併して誕生したジーテクトの海外事業本部長や副社長などを経て、2016年4月より現職(写真:ジーテクト)

4月の段階で(金融機関から)500億円を調達した。これで2020年末まで生産がゼロでも固定費を賄える。今回のコロナ禍で思い知らされたのは、資金がないと生産が止まった時にどうしようもないということ。

自己資本比率は連結ベースではすでに50%以上あるが、地域によってはその水準に満たない拠点もある。自己資本比率を上げていくことが当面の課題になる。

――取引がある2次下請けへの支援策は検討していますか。

すでに2次メーカー支援のための資金を確保している。当社の購買部門で2次メーカーの状況は常に把握しているので、何かあればすぐに支援できるような体制はできている。ただ、現時点で行き詰まっているような会社はない。

日本国内では生産が徐々に回復してきており、峠は越えたという認識だ。いちばん苦しいのは4月初旬から5月の連休までの1カ月くらいだった。ただ、コロナの第2波、第3波となるとわからない。

すべて提案できないと振り向いてくれない

――自動車業界ではCASE(コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化)と呼ばれる次世代技術の開発競争が激化し、完成車メーカーは投資負担が増しています。サプライヤーと完成車メーカーとの関係は今後どう変わっていくのでしょうか。

完成車メーカーの投資はCASEに大きく傾いている。そうすると、従来は完成車メーカーがやっていた車体開発は、サプライヤーでできる会社があるならそこに任せていくことになる。まさに欧米式の分業だ。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

そのためにはわれわれが車体1台分の開発をできる能力を持たないといけない。日系の完成車メーカーでは、車体プレス部品のうち、ジーテクトはこの部品、別のサプライヤーはこの部品と割り振りが決まっている。

一方、ヨーロッパやアメリカの完成車メーカーにとっては、「その部品しかできないの?」というふうになる。日本のやり方では世界に太刀打ちできない。アッパーボディもアンダーボディもすべて提案できないと相手は振り向いてくれない。それをやりたい。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では、「CASE対応で重視する分野」「中国での受注拡大に向けた方策」「ホンダ以外の拡販について」「ホンダ系サプライヤーの再編に対する考え」などについても語っている。
岸本 桂司 東洋経済 記者

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きしもと けいじ / Keiji Kishimoto

全国紙勤務を経て、2018年1月に東洋経済新報社入社。自動車や百貨店、アパレルなどの業界担当記者を経て、2023年4月から編集局証券部で「会社四季報 業界地図」などの編集担当。趣味はサッカー観戦、フットサル、読書、映画鑑賞。

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