「食える人」と「食えない人」の決定的な差の1つは「付加価値を生み出せるかどうか」である。それによって「淘汰されるかどうか」の命運が分かれる。
代替えできない「特別な付加価値」が必要とされる
「テクノロジーの進展」と「コロナ・ショック」が掛け合わさることによって、消えていく職業、職種は、間違いなく増えていく。しかし、この現象を「職業」や「職種」の視点からだけ見ていると、落とし穴にはまる。
衰退していく職業であっても、「特別な付加価値を生み出すことができる人」であれば、間違いなく生き残るだろう。例えば、AIによって「公認会計士」という職業が大きな影響を受けるのは必至である。公認会計士が行う仕事の多くは、AIによって代替される可能性が高い。
しかし、だからといって、すべての公認会計士が不要になるかといえば、そんなことはありえない。AIでは代替できない「高い付加価値」を提供することができる公認会計士は、逆にその存在感を高めるだろう。
つまり、「特別な付加価値を生み出せる人」は引く手あまたの存在になりうるが、「付加価値を生み出せない人」はお払い箱になる。
コロナ以前から、昭和の高度成長を背景にした「みんなで汗水たらして真面目に働けば、みんなが豊かになる」という成長モデルが通用しないことはわかっていた。
平成の時代において、その経営モデルがきしみはじめたが、多くの日本企業は「昭和の成長モデル」を引きずったまま、大胆に変えようとはしなかった。
昭和の時代につくったレールはさびつき、車両はボロボロになった。それでも、ほとんどの人たちは、そのレールや車両にしがみつき、離れようとしなかった。
いまこそ、「昭和のモデル」をぶっ壊し、「新たなモデル」にシフトしなければ、会社そのものがもたないほど、日本企業は窮地に追い込まれている。大変革期のいま、安定志向でリスクをとらない「寄らば大樹」型の人間など、何の役にも立たない。
グーグルやメリルリンチ日本証券、SAPなどから積極的に外部人材の幹部登用を進めるパナソニックの津賀一宏社長は「既存の人は既存のことしか考えられない。ビジネスモデルが議論できる人に来てもらう」と語っている。
企業が求めているのは、「新たなレール」を敷き、「新たな車両」を造ることができる先見性と行動力、リーダーシップが備わっている人である。「誰かが敷いたレールの上をただ走るだけの人」は、間違いなく食えなくなっていく。
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