コロナで「食える人」「食えない人」4つの分岐点 「滅私奉公的サラリーマン」は、もう消える?

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「言われたことを真面目にやるだけのサラリーマン」も、今後は淘汰されてしまうだろう。

【3】「自己主張できる人」と「指示待ちの受け身な人」

これまでは、言われたことを真面目にコツコツこなし、みんなと仲良くやっていければ、それなりに評価された。しかし、時代は大きく変わった。いま求められている人材は、「自らの意見をもち、積極的にアイデアを出せる人」である。

日本電産の永守重信会長兼CEOは、こう語っている。「私は、テレワークは日本人に向いていないと思っていました。というのも、日本人には指示待ち型が多いからです。子どもの頃から親や先生に言われたことに従うのを是とし、自ら何かを始めようとしない。会社員になってからも、大部屋に机を並べて、何かあれば、すぐ上司にうかがいを立てる。でも、テレワークなら上司の顔色を見て仕事をすることもなくなるので、指示待ちから変わるかもしれない

「食える人」は、「自己主張」「自己表現」できる人である。これからの会社は、「自分の意志や意見をもち、それを自分の言葉と行動で表現できる人間」を求めている。指示待ちの受け身なままでは、誰も相手にしてくれない

【4】「腕一本で生きていく気概のある人」と「会社にしがみつく人」

コロナの影響で公務員を志望する大学生が急増しているらしいが、「公務員だから安泰」などという考え方そのものが安直である。「緊急事態なのだから、会社を辞めてはいけない。会社にしがみつけ」とあおる声も聞こえるが、大きな穴が開いている船にしがみついたままでは、船もろとも沈むだけかもしれない。

どんな会社だって潰れる可能性がある。どんな仕事だって突然なくなる可能性がある

正社員だから安泰なんて言っていられない。会社にしがみついて、人生を棒に振ることが最も不幸なことである。

「食える人」は、会社にしがみつかない。コロナの影響で仕事がオンライン化やリモートワークに変わるなどの「大きな変化」にも柔軟に対応し、しっかりと自己管理ができる。そして、そういう「食える人」ほど、「自分の腕一本で生きていく気概」をもっており、会社にしがみつかない「脱会社」のマインドをもっている。

「コロナ・ショック」を「コロナ・チャンス」に

コロナ後においては、「どの職業に就くか」はもちろん大事だが、それ以上に「付加価値の高いプロ人材になりえるか」どうかが、キャリア上の成否を決めるといっても過言ではない。

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コロナ・ショックは、ビジネス社会における「プロの時代」の幕開けになる。滅私奉公的なサラリーマンは淘汰され、高度専門性と市場性を兼ね備えた「プロ」が活躍する時代へと突入する。

競争は厳しくなるが、「個」の活性化ができれば、この国を再生させる大きなきっかけになりえる。私たちは「コロナ・ショック」を、自らの手で「コロナ・チャンス」へと変えなければならない。

遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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