ハレクラニ沖縄の躍進が映す沖縄観光の競争力

離島や地域性は弱点ではなくむしろ強みになる

ハワイで100年以上の歴史のある世界屈指の名門ホテル。1917年の開業以来初の海外進出となったハレクラニ沖縄の展開は、開業前から本場を知るファンの期待と注目を集めた。

全360室。平均的な宿泊料金は1室7万〜15万円前後。北部地域の他のリゾートに比べて2割〜2倍程度高い価格設定にもかかわらず、3月の3連休には90%を超える高稼働を達成した。直後の緊急事態宣言に伴って1カ月余りの休業を余儀なくされたが、営業再開した6月以降、予約客は再び戻り始めた。

「Go To」の「東京除外」が発表されてからは、多少のキャンセルがあったものの、「補助事業に関係なく、予約を継続したいというお客さまからの相談に近いお問い合わせも多い」と広報担当者はいう。

本島北部を中心としたリゾートホテル群は緊急事態宣言の解除後、旅行需要を引き込む最初の受け皿となった。沖縄県が6月に県民向けに実施した旅行助成事業「おきなわ彩発見キャンペーン」では、北部のリゾートホテルに利用が集中した。那覇に立地する宿泊施設の幹部は「5億円の予算のうち、4億円が北部リゾートで消化されるほどの人気ぶりだった」と話す。域内観光を盛り上げる施策に多くのホテルが救われた。

しかし、政策的な誘客効果は一過性のものに過ぎない。客数増が見込めない中、いかに利用客の満足を再訪につながる水準まで引き上げ、単価を上げるかが問われる。その絶対条件となるのが、最も難易度が高い人材の育成だ。各ホテル経営幹部の厚い経験と、熱い思いに裏打ちされた手腕で、大きく差がつく。

応募動機は働く人の誇り、成長実感

「私たちは沖縄で世界を代表するラグジュアリーリゾートを創ります。ハレクラニ沖縄で働いたことが、君たちの人生において必ず大事な要素になる。ぜひ一緒に働きませんか」

ハレクラニ沖縄の開業を1年後に控えた2018年、同ホテル総支配人の吉江潤氏は全国各地で開いた採用説明会に自ら足を運び、学生たちにこんな言葉で語りかけた。まだ形のない“就職先“の説明で訴えたのは、施設の広さや豪華さではない。働くことの「意義」や「誇り」、そして訪れるお客様の気持ちの安らぎや思い出づくりに携わる、人間としてのあり方や成長の実感。吉江氏本人も理想とするハレクラニの価値観だったという。

当時は、あらゆる業種で人手不足が深刻化していた。だが、いざふたを開けてみると、同ホテルには想定を超える応募者が集まった。新卒者枠を当初予定の60人から100人に拡大。全国各地から開業メンバーとして沖縄に集まったのは、社会人採用を含め360人。沖縄県内から3割、県外出身者が7割を占めた。

次ページ当初はドタバタのスタートだった
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