東京の町医者から見た日本のコロナ対策の弱点 検査体制と二類感染症扱いはこのままでいいか

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実際、感染者の増加に伴う死者数の増加は起こっていない。

ただし、このままだと2つの問題が残る。

1つ目は、入院患者の増加にともなう医療現場の逼迫だ。

ベッドや人力がコロナ患者対応に取られると、救える患者が救えない自体に陥る。これが医療崩壊だ。

2つ目は、感染拡大が高齢者施設に広がることだ。日本在宅医療連合学会が今年2~5月、316人(施設)から得た回答によると、16%にあたる51施設で、医師・職員の感染または濃厚接触があり、このうち12施設は、診療停止となっている。

全国的に院内感染の報告とともに、高齢者施設での感染が日々報告されているし、死者も出ている。

介護スタッフの感染が初発であるケースも多い。こうなると、介護施設の閉鎖につながり、介護崩壊につながる。

感染症法第1条に書かれていること

感染症法の第1条には「この法律は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関し必要な措置を定めることにより、感染症の発生を予防し、及びそのまん延の防止を図り、もって公衆衛生の向上及び増進を図ることを目的とする」とある。

感染症法に基づく措置自体が、目的を果たせないのでは本末転倒としか言いようがない。

指定感染症は「実施できる措置は政令でその都度定める」ことになっている。臨機応変な対応が可能になる。

もともと二類感染症の特徴は「一類感染症に次いでvirulence(病原性)やCFR(致死率)が高いが、ヒト-ヒト感染の程度は一類感染ほどではない感染症」となっている。

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感染力が急速に拡大する、すなわちウイルスが弱毒の時期、いわば「夏風邪」の時期に二類感染症扱いを外す。そして、医療従事者や介護従事者などの定期検査ができる水準、1日数十万件の実施が可能なレベルまでPCR検査体制を拡充する。

これがコロナ第2波に見舞われている今の日本が感染を抑制するために必要な措置だと私は考える。そうすることによって、無用な差別も消えていくはずだ。

原田 文植 医師・医学博士、福島県立医科大学 災害支援講座 助教

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はらだ ふみうえ / Fumiue Harada

1971年、大阪生まれ。福島県立医科大学 災害支援講座 助教。医師・医学博士。内科認定医。認定産業医。スポーツ健康医。在宅医療認定医。1998年大阪医科大学卒業。2005年大学院終了。国立感染症研究所研究員にてフラビウイルスの研究に従事。2008年より地域医療に従事し、診療所で発熱外来なども積極的に導入。執筆活動、武道家・格闘家との交流、映画出演、都内を中心に音楽ライブ活動など幅広く活躍。

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