東京の町医者から見た日本のコロナ対策の弱点 検査体制と二類感染症扱いはこのままでいいか

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これは国民性もあると思われるが、感染症法で「二類感染症扱い」にしていることも、こうした雰囲気を醸成している一因になっていることは否定できないと私は考えている。

新型コロナウイルスは2020年2月1日付で感染症法上の「指定感染症」に定められた。ここまでは問題がなく、当然の動きだ。問題は、「二類感染症」と同等の措置が取られると規定されたことにある。

二類感染症は感染症法19条、20条の規定により、患者は指定医療機関に強制的に入院させることになっている。

現状はコロナ感染者が増えすぎてホテルや自宅待機も利用せざるをえない状況になっているが、これは厳密に言えば、感染症法の規定に反している。

「自粛警察」がはびこる要因

そして、隔離中にかかる費用はすべて公費となる。感染者のせいで自粛を強いられ、家業が回らない人たちから見て、当の感染者は公費で1日3回の飯を食らっている点は割り切れないかもしれない。「自粛警察」がはびこるのも、「世間様に迷惑をかけてはならない」という日本式教育のもたらしたものだとも言えよう。

かくして、感染者は肩身の狭い思いをすることになる。「感染しているかもしれないが、いっそ検査はやめておこう」となる心理に陥ったとしても無理はない。

「感染者への差別をなくせ! 医療従事者へ感謝の気持ちを!」

などと号令をかけても「内心の自由」に制限をかけるのは不可能だ。世間に偏見を持たれ、差別される土壌を作ったのは、政策の影響も小さくないと言わざるをえない。

感染をこれ以上いたずらに広げないためには、感染者をできるだけ早期に診断し、隔離(自宅、ホテルを含む)を徹底しなければならない。そのためにはPCR検査体制の拡充が急務だ。中でも医療従事者の定期検査の導入は一考の価値がある。医療従事者が風評を恐れてPCR検査をしなければ、患者に感染が拡大する危険性もある。患者も安心して受診できるようになるので ”WIN-WIN” だ。

その際の検査費用は公費負担が望ましい。現状は、医療スタッフへの検査は濃厚接触が疑われない限り公費とはならない。

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