銀座育ちのミツバチが運ぶコミュニティ

都心で地産地消?!  銀座ミツバチプロジェクト

ミツバチが自然を作り、つながりを作る

ミツバチが危険と思う人は多い一方で、ミツバチが私たちの生活に大切な存在であることを知っている人は、それほど多くはないと思います。日本ではあまり理解が広がっていませんが、実はミツバチは環境指標生物(環境の悪化を知らせる生物)であり、自然の中ではとても大事な生き物なのです。世界の食糧の3分の1はミツバチによる受粉に頼っているなど、自然環境の大事な仲介者で、すでにヨーロッパでは、昨年末からミツバチに有害な農薬を全面禁止にするなど、保護が進んでいます。

実際、銀座もミツバチが飛ぶようになってから、樹木に実がなるようになり、それを目掛けて鳥がやって来るようになるなど、街の自然に目に見える変化が出始めました。銀座の街にも自然の循環が起きるようになってきたのです。

ミツバチがこの街に運んできたのは、すばらしい自然環境だけではありません。ミツバチが作るハチミツに誘われて、銀座の人々が集まり、それがネットワークになっていったのです。

毎年、3月も後半になると、ミツバチは活動が活発になり、銀座とその周辺から蜜を集め始めます。7月頃まで毎週のように、蜜を採る採蜜が行われ、銀座産のハチミツが出来上がります。この採蜜に、パティシエやバーテンダー、クラブのママや一流シェフ、グローバルブランドや百貨店のスタッフまで、銀座中から人が集まるのです。

「銀座のあるホテルの一流シェフは、銀座で商売をしているプライドはあったけれど、なかなか銀座の街と、そして銀座の人々とかかわれなかったと言っていました。それがこの採蜜をきっかけに、つながることができたのがうれしいと」

田中さんは、ハチミツを採ることだけが大事なのではないと言います。

「ビルの上でミツバチを育てる都市養蜂は、パリなど世界のほかの大都市でも進んでいる場所はあります。しかし、それがコミュニティ作り、地域ブランド作りと一体になっているケースはまれです。大事なのは、ハチミツが採れることだけではなく、そのプロセスを通じて、地域の人々がつながり、地域に誇りを持ってもらうことなのです」

銀座中からさまざまな人が集まって採蜜する
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