文章が劇的に「伝わるようになる」鉄板ルール

わかりにくい文章には明らかな共通点がある

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった。
向側の座席から娘が立って来て、島村の前のガラス窓を落した。雪の冷気が流れこんだ。
(川端康成『雪国』より)

一文は短いほうが理解しやすいですし、リズムができて読みやすいことがわかるでしょう。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であったのだが……」とダラダラ続くと、なんだか歯切れも悪いし、疲れてしまいます。

短い文はバカっぽいと思うかもしれません。「頭をよく見せたい」「ちゃんとした文章を書きたい」と思えば思うほど、文は長くなりがちです。しかし逆なのです。短くシンプルな文ほどわかりやすくて、むしろ頭がよく見えるはずです。

労働政策審議会の各分科会の委員並びに臨時委員及び専門委員は、労働政策審議会令第三条において、労働者を代表する者、使用者を代表する者及び公益を代表する者並びに障害者を代表する者のうちから、厚生労働大臣が任命することとされている。

この文は、ひとつの文であらゆることを言おうとしています。一度にすべて伝えようとすると、読み手に情報がなだれ込んでしまい、理解が追いつかなくなります。上記の文を分解すると、以下のことを言っています。

・委員は大臣が任命する
・それは労働政策審議会令第三条に記されている
・委員は労働者、使用者などの代表者のなかから選ぶ

ひとつの文で複数のことを伝えようとしない。基本的にひとつの文ではひとつのことが伝わればいい。ひとつずつ伝えることです。

情報も1つずつ伝える方がいい

目の前の人に、りんごとみかんとバナナを一度に渡すとどうなるでしょうか? 困るはずです。いくつかは落としてしまうでしょう。そうではなく、ひとつずつ渡す。「はい、りんご」「はい、みかん」というように渡していけば、相手も落とさずに処理できるはずです。

猫は動物であり哺乳類である一方で犬も動物であり哺乳類であるが、ぼくは猫だけが好きなのであって同じ動物だったとしても犬は好きではない。

ではなく、

猫は動物です。哺乳類でもあります。犬も動物です。哺乳類です。ぼくは、猫が好きです。猫も犬も動物です。ただ、犬は好きではありません。

と書けばいいわけです。

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「AはBです」というようにシンプルに言い切ることが大切なのです。一度にすべてを伝えようとするから、わかりにくくなります。「AはBです」「CもBです」と一つひとつ処理していく。

「ここまではわかりますよね? ここまではわかりますよね?」と読み手に確認するように書いていけば、わかりにくい文章は生まれないはずです。

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