いまさら聞けない「健康診断の結果」の見方 脂質異常症と糖尿病をマスターしましょう

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次に健康診断で糖尿病に関する数値を見るときは、血糖値とHbA1cという項目を見ます。

血糖値とは血液中の糖分の量という意味であり、血糖値が高くなるとインスリンというホルモンが働き、血液の中の糖分を筋肉や肝臓などに取り込ませることで血糖値を下げます。

このインスリンが不足する、またはうまく働かないと糖尿病につながります。こうなると血管内に糖分が増えてしまい、これが血管を傷つけることで身体に酸素や栄養が行き渡らなくなり、足がピリピリしびれたり、ひどいときには腐って(壊死)してしまうのです。

健康診断においては、インスリンが十分働いているか=血糖値がちゃんと下がっているかを見ているのです。

健診結果で自身の健康を見直すきっかけに

HbA1cの正体はヘモグロビン(赤血球の成分)に糖分が結合したものです。1~2カ月程度高血糖が続いていると、この結合が強くなって赤血球の寿命まで離れなくなります。赤血球の寿命は4カ月くらいなので、このヘモグロビンと糖が結合した赤血球を見ると直近2カ月くらいの血糖値がおおざっぱにわかるというわけです。

HbA1cがもし上昇していたら、2カ月前に暴飲暴食をしていなかったか思い出してみましょう。逆に高かった数字が下がっていたら、2カ月前の生活習慣は改善していたということです。

医師は健診結果を見てアドバイスや治療はできますが、外来の限られた時間ではすぐにいつもの食事や運動習慣まで細かく把握できるわけではありません。本稿が自身の健康を見直す助けとなったら幸いです。

生活習慣病は、毎日の積み重ねでしっかり予防することと、早めに治療することが大切なので、とくに外出自粛前と生活習慣が大きく変わった方は、次の健診時に数値を確認されることをお勧めします。

上原 桃子 医師・産業医

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うえはら ももこ / Momoko Uehara

横浜市立大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構理事。身体とこころの健康、未病の活動に尽力し、健康経営に関する医療系書籍の編集にも関わっている。医師と患者のコミュニケーションを医療関係者、患者双方の視点から見つめ直すことを課題とし、とくに働く女性のライフスタイルについて提案・貢献することを目指している。

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