とはいえ、ディズニーは東京観光のランドマーク的な場所であり、実質「東京」に分類され、ディズニー目当てに東京へ訪れる人も多い。
実際、毎年夏休みになると羽田空港のディズニー行きのバス乗り場には長い行列ができるほか、東京駅から新幹線で地方へ戻る車内ではディズニーのお土産を持った人が多く見られるなど、地方からの場合は成田空港発着のLCC(格安航空会社)便などを利用しない限り、東京を経由しないでディズニーには行くことができない。経由するだけなら一定の理解はできるが、地方からの旅行者の多くが、ディズニーの前後に東京都内で食事やショッピングを楽しんでおり、Go Toの恩恵を受けながらも東京を出入りすることになる。
またディズニー以外でも地方から東京を訪れる場合に、ホテルを神奈川県・千葉県・埼玉県などにすることでGo Toが利用できてしまうことから、東京都に加えて、川崎市・横浜市・浦安市など東京隣接に宿泊する人が増えるだろう。Go Toの割引を受ける旅行者に対しては、東京都内における食事やショッピング、観光を楽しむことについて自粛を徹底する必要があるだろう。
地方では歓迎の声も
東京発着以外の旅行においては、Go Toは予定通りに22日から実施することになったが、実施を強行した背景には、地方の宿泊業界や観光業界が悲鳴を上げている状況がある。
地方の観光業の多くが融資を受けて生き延びており、倒産寸前やすでに倒産・廃業を決めた宿泊施設もあるなかで、「コロナ感染者は首都圏が中心で、地方の感染者は少ない。首都圏以外の人には夏休みに旅行に来てもらってお金を落としてほしい」という切実な願いが多く、県内および周辺エリアだけでもGo Toの対象にしてほしいというものだった。
また地方だけでなく、首都圏でも神奈川県、千葉県、埼玉県の3県ともに感染者が多く出ているのは東京近郊エリアが中心で、箱根・房総半島・銚子・秩父などの観光地における感染者は少数であり、Go Toで除外するのは東京都関連だけにするべきとの声があり、東京以外の首都圏観光地はセーフとなった。
国内旅行では3月から新型コロナウイルスによる影響が出始め、4月7日の緊急事態宣言発令から6月19日の県をまたいだ移動自粛解除までの2カ月半は壊滅的な状況で、人件費や施設維持のための固定費を持続化給付金の200万円や雇用調整助成金などで賄える額ではなく、Go Toによる集客に期待するしかない状況だった。
そこで地方選出の国会議員などが政府や自民党に対し、8月ではなく、本来オリンピックの開会式が予定されていた7月の4連休に間に合わせて実施してほしいと要望。7月22日に前倒しになったが、都内の感染者数拡大で軌道修正を余儀なくされることになった。
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