スタバとタリーズ「グッズ戦略」の決定的な違い キャラとのコラボか、独自商品の打ち出しか
タリーズは毎年、「笠間マグ」と名づけ、笠間焼(茨城県笠間市)をイヤーカップとして販売する。「作家の手づくりで、温かみがあり、飲むときの豊かさも楽しめます。使い込むうちに雰囲気が変わる経年変化も味わいです」(阿部氏)。
高級洋食器には昔から、毎年デザインが変わる「クリスマスプレート」や「イヤープレート」があるが、その和食器版といえよう。
スターバックスには、「JIMOTO made series」(地元メイドシリーズ)という地域限定品がある。その地方の産業や素材を取り入れ、ごく限られた店舗で販売する商品だ。
その中には、日本で初めて作られたコーヒーカップを現代に復刻した「Mikawachi」(三川内焼。長崎県発祥)や、「マグ三唐草」(砥部焼。愛媛県発祥)などもある。アメリカで誕生したスタバが、こうした“ディスカバージャパン”にこだわるのも興味深い。
グッズの役割は「売り上げ」よりも「彩り」
経営の視点から見ると、カフェのグッズの利益率は低い。飲食がメインの業態なので、総売り上げに占めるグッズの割合も低く、タリーズの場合で数%だという。
それでも各社が取り組むのは、コーヒータイムを豊かにする「彩り」(いろどり)の意味もあるからだ。「選択と集中」型経営が重視されると、目をつけられそうな分野だが、潮流も変わりつつある。withコロナで定着した「おうちカフェ」だ。
筆者は、一連の「外出自粛」時期に行ったカフェの取り組みも調べているが、人気店の多くは、オンライン販売でコーヒー豆や関連器具が売れた。消費者は、なじみの店や興味のある店の商品を買うことで、(無意識のうちに)ブランドとつながろうとしたのだ。
盛夏になればコーヒー豆の売れ行きは落ちるだろうが、秋以降は戻るかもしれない。先の読めない閉塞感を自分なりに楽しもうとする時代性――。そう考えると、キャラクターのカップや和モダンのカップには、飲食時に寄り添ってくれる役割がありそうだ。
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