スタバとタリーズ「グッズ戦略」の決定的な違い キャラとのコラボか、独自商品の打ち出しか
タリーズのグッズには、ほっこりするような和みキャラも目立つ。
例えば2012年から展開する「ベアフル」は同社の名物だ。カップのふちに飾れる「ふちベアフル」も開発した。各地の店舗を訪れると、大小のぬいぐるみもいて、市販もしている。ネーミングはテディベアとフル(満たす=笑顔で満たされてほしいの思い)の造語だという。
後述するスターバックスにも「ベアリスタ」というキャラクターがあるが、こちらは熊のベアとバリスタ(コーヒー職人)の造語。不定期に発売されるグッズだ。
グッズの発売年はスタバのほうが早いが、タリーズのベアは「もともと2003年のクリスマス時期に発売したコーヒー、ホリデーローストのパッケージデザインが由来です。暖炉の前にいるクマがかわいいと評判になり、その後にデザイン化しました」(同社)。
愛くるしくデザインされたクマと、主な支持層である若い女性も訪れるカフェは、相性がよいのだろう。
2013年から「鳥獣戯画」グッズも発売
タリーズには、国宝絵巻として知られる「鳥獣戯画」をデザインしたグッズもある。これも阿部氏を中心に企画開発したという。
「こちらは2013年に東京・東銀座の歌舞伎座のビルが新築され、当社の店舗が入ったのがきっかけです。この機会に、歌舞伎や日本の伝統に結びつく商品を考えた結果、手ぬぐいブランド『かまわぬ』とコラボ。それ以来、季節に合わせてデザインを変えた手ぬぐいを発売してきました。
鳥獣戯画はその中で最も人気の高いアイテムで、2019年7月にマグカップや風呂敷、がま口カードケースなども発売。40代を中心にご支持をいただいています」(同)
平安時代後期に鳥羽僧正(僧侶名は覚猷=かくゆう)によって描かれた「鳥獣人物戯画」は、日本で教育を受けた人なら、教科書や参考書で見たことがあるだろう。
欧米で人気のキャラクターの中には、日本人にはなじみにくいものがあるが、大手チェーンが国内の消費者に訴求する以上、こうした「親しみやすさ」の要素は欠かせない。
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