「感じのいい人」が知っている"気配り"の本質 細かいマナーよりももっと大事なこと
左から椅子の前に立ち、頭頂から腰をまっすぐにして、腰から座る。立つときも同様の姿勢で、左から出る。
「右から失礼いたします」などのひと言を添えて、左からの出入りに執着せず、臨機応変にふるまう。
椅子はもともと西洋からきた文化です。椅子の出入りは左からといわれているのは、戦の絶えない時代、自分の身を守るために、剣を左腰に差していたため、椅子の右から座ろうとすると剣が邪魔になりスムーズに座ることができません。そこで、左から入ればスムーズに座れるというところから、このようなスタイルになりました。
また、晩餐会などの横長のテーブルでは、男女が交互に座ります。このとき、男性は自分の右隣の女性をエスコートするのがエチケット。左側からの出入りは、右にいるエスコートする女性よりも遠い側から出入りするという配慮にもつながりますね。
上座と下座で迷いがちな席次のマナー
このように、フォーマルな場所ではそのルールに則るのがマナーですが、日常生活の中では、教科書どおりのシーンばかりではありませんよね。
品のある方は、つねに周囲の人たちを最優先に考え、その場をスムーズに、心地よい空間にする立ち居ふるまいをします。「右から失礼いたします」などのひと言があれば、相手がマナーをご存じの方であれば、「この人はあえてこのような行動をしているのだな」とわかっていただけるでしょう。
出入口から最も遠い席を最上位席とし、出入口から最も近い席を最下位席とする。
出入口からの遠い・近いに関係なく、お客様にとって最も心地よい席を最上位席とする。
一般的には、出入口から遠い席が上座、近い席が下座です。
和室の場合は、床の間の前が最上位席となります。お客様が2名の場合、床の間から見て左が1番上、その右隣が2番目となります。3名の場合は、床の間から見て、真ん中が最上位席となり、2番目は右、3番目は左隣となります。
ところが、出入口に近い場所に床の間をしつらえた和室もあります。これは「下座床(げざどこ)」といわれており、出入口から遠い場所にも近い場所にも、両方に床の間を造ることにより、上下関係をなくす、上下関係なくお座りいただくという配慮からなる造りです。
洋室の場合は、下座の席からのほうが美しい景色をご覧いただけるなどの造りであれば、お客様のご要望を伺い、お好きな席にお座りいただくことがベストと言えます。体調などの問題で、出入口から近いほうを好む方もいらっしゃいます。
基本の席次を理解したうえで、相手や状況に応じて臨機応変にふるまえる人が、愛される人となります。
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