これは、人間は後悔を最小化するように行動する、という仮説で、大変興味深く、個人的には、もっとも深入りして研究してみたい考え方である。今日は、理論的に深入りはできないが、「後悔」を軸に考えてみたいと思う。
なぜ、後悔をしてはいけないのか。
実はそこが最大の問題だ。
後悔の「3つの問題」とは何か?
いや、普通に考えれば、後悔しないほうがいいに決まっているように見える。
第1に、後悔している、ということは、過去に行った意思決定が間違っていた、と自ら認めていることであり、後悔しない意思決定をすればよかった、ということは明らかに見える。
第2に、後悔は気分が悪い。失敗した、という思いにさいなまれながら生きていくのはつらい。確実に、今、後悔している、ということは、今、不幸を感じているということだ。
第3に、第2の点の結果として、後悔は、次の意思決定を狂わせる。後悔していると、気分が不安定である。さらに、後悔という負の体験は、2度と後悔をしないように、という思いを強くさせ、未来の意思決定を、冷静さを欠いたものにする可能性がある。
これが後悔の最大の問題である。
経済学における非効率性とは、最適な意思決定ができないことであり、将来の最適な意思決定を阻む「後悔」は最悪であり、これはできる限り排除することによって、意思決定主体は幸せになるはずなのである。過去に行った意思決定が間違っていたとしても、それはいまさら悔やんでも何も変わらない。致命的なのは、それが未来の意思決定を狂わせることであり、将来の行動を最適でないものにすることである。
だから、後悔を最小化しよう、ということなのだが、これはおかしい、と私は思う。
なぜか。
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