■そのフタ、何のため?
発売は昨年11月なので少し前になるが、アサヒフードアンドヘルスケアの「スープカフェ」というカップスープ商品がある。ラインナップはコーンポタージュ、ホットショコラ、クラムチャウダーの3種。商品の特徴は「フタが付いていること」。そう、スタバやタリーズ、その他カフェのテイクアウトでおなじみの、フタの一部が開いてそこから飲むというスタイルだ。
筆者だけなのかもしれないが、この商品をコンビニの店頭などで見ても、全く響かなかった。「フタ付きだと何がうれしいの?“カフェ”ってオシャレッぽいってこと?」。さらに、「スープなのにココアがラインナップされているってどういうこと?」と理解不能。以来、店頭で見かけても手に取ることなく、ほとんど気にもとめない存在になっていた。
ところが、店頭に導入されたPOPを見ると、この商品のコンセプトが分かってきた。「フタ付きだから、片手で飲める」。まだ伝わらない。POPの側面に「デスクで便利、片手で飲める!」と書いてある。さらにPOP上部に書いてあるコピーも読む。「フタ付きだから、冷めにくく、においが広がらない」。
やっと分かった。この商品はオフィスのデスクで、昼食時以外の小腹が空いた時、「コーヒーの代替」として、仕事の片手間に飲むスープなのだ。コーヒーを飲みすぎておなかがじゃぶじゃぶにならないし、カフェインで空きっ腹の胃が痛む事もない。また、人から見られても、いかにも「なにか食べてます!」という風情ではなく飲みものを飲んでいるだけのような様子で食べられる。
小腹を満たす需要なら、ココアのラインナップも納得がいく。コーヒーはおなかはふくれないけど、ココアはおなかがふくれる。「おなかすいたけど、塩味じゃないんだな~」という時に、ココアはミルクも入ってて、チョコも入ってて、小腹が満たされる。
フタの重要性は、さらに用いられるタイミングが問題だ。昼食時なら昨今デスクで弁当を広げる人も多いため、においを気にする必要はない。しかし、他の人が仕事をしている時に食事っぽいニオイがしてきたらたまらない。それが防げるのだ。
今のタイミングでPOPを投入し、商品コンセプトの浸透を図ったのは、季節的な要因もあるのだろう。厳冬の朝、ぬくぬく毛布の誘惑に負けて寝坊した始業時間、おかずの匂いをさせずに暖かくおなかを満たす事ができたなら、とても幸せだ。そんな利用シーンを想像させる。
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